第4章 実行|買取・訳あり

空き家の買取と仲介、どちらが得か:向き不向きと選び方

空き家の買取とは、不動産会社が直接買い取る売り方です。早く現金化できますが、価格は仲介より低くなる傾向があり、向き不向きがあります。

  • 買取は「早い・手間が少ない・買い手が付きにくい物件も売れやすい」代わりに、価格は仲介より低くなります。大手の公開記載では、仲介の約6〜9割が目安です。
  • モデルケースでは、仲介で800万円の物件を買取で7割(560万円)で売ると、手取りは約167万円(3,000万円控除なし)から約207万円(控除あり)少なくなります。
  • 向くかどうかは、物件の状態、期限、家族の合意で決まります。あなたのケースは診断で確かめてください。

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空き家の買取とは何で、仲介と何が違いますか?

買取とは、不動産会社などが買主になって、空き家を直接買い取る売り方です。仲介とは、不動産会社が買主を探して売買を成立させる売り方で、買主は一般の個人や法人です。

空き家の買取とは何で、仲介と何が違いますか?
項目 買取 仲介
買主 不動産会社(買取業者) 一般の買主(不動産会社は買主探しを担う)
価格 仲介より低い傾向 買主が付けば市場価格に近づく
売却までの期間 即時買取は2週間から1か月程度(三井のリハウスの記載) 買主が見つかるまで。公的な統計は確認できていません
仲介手数料 買主が不動産会社のため、通常かからない 成約時に上限額まで(売る流れと費用)
契約不適合責任 免除する条件で契約する例が多いとされる 買主が個人の場合は売主が負う(特約で調整)
片付け・修繕 残置物のまま買い取る業者もある 内覧のために掃除や修繕が必要になることがある
近隣への周知 知られにくい 売り出しの情報が出る

買取には2種類があります。即時買取は、査定額に合意すれば売却が決まる方法です。買取保証は、まず仲介で売り、決まらなければ事前に決めた価格で買い取ってもらう方法です(三井のリハウスの分類)。

買取保証は、業者によって売却活動が積極的でない場合があります。依頼前にサービス内容を確認します。

買取価格は仲介より、どれくらい低くなりますか?

大手の公開記載では、買取価格は仲介価格の約6〜9割が目安です。ただし公的な統計はなく、マンションや都市部の記述が中心です。相続した戸建や地方の空き家に、そのまま当てはまるかは確認されていません。

買取価格は仲介より、どれくらい低くなりますか?
出典 記載内容 対象 更新日の表示
三井のリハウス 買取の相場は仲介の約6割〜8割。状態によっては5割程度 物件種別を限定しない一般解説 2026年4月17日
東急リバブル 仲介相場の7〜9割程度になることが多い マンション 2025年6月13日
東急リバブル 市場価格の7〜8割程度(2026年10月16日確認) マンション 確認日のみ

これらの数字は、各社の公開ページの記載です。算定の根拠データは示されていません。買取価格が仲介の何割になるかを示す公的な統計はなく、戸建や地方の空き家への当てはめも確認されていません。このため、この記事ではモデルケースの前提として使い、断定はしません。

買取価格が低くなる理由として、三井のリハウスは、買取後のリフォームや修繕の費用が価格から差し引かれることを挙げています。残置物の撤去費用も買取価格に反映されることがあります。

モデルケース(見本の数字)。実在の事例ではありません。

条件:仲介なら800万円で売れる見込み、取得費不明(概算取得費5%)、長期、仲介手数料は上限の30万円(税別。税込33万円。800万円×3%+6万円も30万円)、買取に手数料はなし、住宅ローンなし。

買取価格は仲介より、どれくらい低くなりますか?
売り方 売却価格 手取り(3,000万円控除なし) 手取り(控除あり) 仲介との差(控除なし/あり)
仲介 800万円 618.9万円 766.5万円 基準
買取 9割 720万円 580.7万円 719.5万円 -38.3万円/-47.0万円
買取 8割 640万円 516.1万円 639.5万円 -102.8万円/-127.0万円
買取 7割 560万円 451.5万円 559.5万円 -167.4万円/-207.0万円
買取 6割 480万円 387.3万円 479.9万円 -231.6万円/-286.6万円

手取りは、売却価格から印紙税(国税庁 No.7108)、仲介手数料、譲渡所得税(実効20.315%)を引いた額です。売れるまでの固定資産税や管理費、相続登記の費用は含めていません。

損益分岐は次のとおりです。買取価格が仲介価格の約95.9%以上なら、手取りが並びます。仲介でだけ必要な費用(残置物の撤去など)が50万円かかると仮定すると、約89.6%(控除ありの場合)で並びます。

控除が使える人は、税がかからない分、価格差がそのまま手取りの差になります。控除の要件は3,000万円控除の記事と判定ツールで確認できます。

買取が向いているのは、どんな人ですか?

買取は、期限が近い人、片付けや修繕に手が回らない人、仲介では買い手が付きにくい物件を持つ人に向いています。反対に、できるだけ高く売りたい人や、時間に余裕がある人には向きません。

買取が向いているのは、どんな人ですか?
向く人・ケース 向かない人・ケース
売却の期限が決まっている(3,000万円控除の期限など。売る流れと期限) できるだけ高く売りたい
築年数が経っている、残置物が多いなど、仲介で買い手が付きにくい 立地が良く、仲介で買い手が付きやすい
買主から契約不適合責任を問われたくない 売り出しから成約まで待てる時間がある
内覧や近隣への周知を避けたい 複数の買主候補を競わせて価格を上げたい
再建築不可・借地権・共有持分など、一般の買主が限られる 共有者全員の意見が割れていて、売ること自体が決まっていない

買取にも注意点があります(三井のリハウスの記載)。

  • 成約価格が仲介より低くなる。
  • 印紙税、抵当権抹消などの登記費用、譲渡所得税は仲介と同様にかかる。
  • 不動産によっては、買い取ってもらえない場合がある。
  • 契約後に買取価格を下げられる、想定外の費用を請求されるといったトラブルが挙げられている。

特殊な事情がある物件には、専用の記事があります。

買取だと、契約不適合責任と残置物の扱いはどう変わりますか?

買取では、契約不適合責任を免除する条件で契約する例が多いとされます。ただし、免除されない場合もあるため、契約書の条項で必ず確認します。残置物は、そのまま買い取る業者もありますが、撤去費用が価格に反映されます。

契約不適合責任とは、引き渡した建物や土地が契約の内容に合わないときに、売主が負う責任です。民法の定めは次のとおりです。

買取だと、契約不適合責任と残置物の扱いはどう変わりますか?
条文 内容
民法566条 買主が不適合を知った時から1年以内に通知しないと、追完請求・代金減額・損害賠償・解除ができない。売主が引渡し時に不適合を知っていた、または重大な過失で知らなかったときは別
民法572条 責任を負わない特約をしても、売主が知りながら告げなかった事実は免れない

免責の特約があっても、雨漏りやシロアリなど、知っていて黙っていた事実は免責されません。買取でも、知っている不具合は契約前に書面で伝えます。

残置物があるとき、不用品回収業者と連携して、そのまま買い取る業者もあります(三井のリハウス)。その場合は、撤去や処分の費用が買取価格から引かれ、通常より低くなることがあります。

片付けを自分で済ませる場合は、姉妹サイトのふれあいの丘(運営:株式会社Kogera)が詳しく扱っています。

買取業者は、どう選び、契約前に何を確認しますか?

買取業者は、宅地建物取引業の免許と行政処分歴を確認し、複数社の査定額と根拠を比べて選びます。契約前に、契約不適合責任、決済日、残置物、価格の減額条件を書面で確認します。

選ぶときの確認点は次のとおりです。

  • 宅地建物取引業の免許があるか。免許の有効期間は5年で、更新が必要です(宅地建物取引業法3条)。
  • 行政処分歴があるか。国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで、宅地建物取引業者の処分情報を調べられます。処分情報の掲載期間は、処分日から5年間です(宮城県の案内)。
  • 査定額の根拠を説明してもらえるか。買取後の工事費や再販価格をどう見込んだかを聞きます。
  • 2〜3社以上で比べたか。買取価格は、リフォームの見込みなど業者ごとの判断で変わります。
  • 買取か、買取保証か。どちらのサービスかを依頼前に確認します。

契約前に書面で確認する項目は次のとおりです。

買取業者は、どう選び、契約前に何を確認しますか?
確認項目 理由
買取価格と、契約後の減額条件の有無 契約後に価格を下げられるトラブルが挙げられているため
契約不適合責任の免除・期間の条項 民法566条・572条で責任の範囲が変わるため
残置物の扱いと費用の負担 撤去費用が価格に反映されるため
決済日と引渡し日 3,000万円控除などの期限に影響するため
手付金と解約時の取り扱い 買主が解約したときの条件を知るため
査定料・相談料などの費用 想定外の請求を避けるため

処分歴がなくても、トラブルが少ないとは限りません。処分歴の確認は、複数の確認方法の一つとして使います。

買取でも、空き家の3,000万円控除は使えますか?

要件を満たせば、買取業者への売却でも3,000万円控除の対象になりえます。ただし、買主が親族や特殊関係法人でないこと、耐震基準を満たすか譲渡後に耐震改修か取壊しがされることなど、買取特有の確認点があります。

買取でも、空き家の3,000万円控除は使えますか?
要件 買取で確認すること
相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ令和9年(2027年)12月31日まで 決済日・引渡し日が期限内か。譲渡の時期の扱いは税務署で確認
譲渡対価が1億円以下 買取価格が1億円以下か
買主が親族・同居親族・内縁・特殊関係法人でない 買取業者が特殊関係法人に当たらないか
家屋が耐震基準に適合、または取壊し後の敷地を売却 買取業者が取り壊して更地にする、または譲渡の翌年2月15日までに耐震改修か全部の取壊しをするか
相続後、売るまで事業・貸付・居住に使っていない 買取までに貸していないか

令和6年(2024年)1月1日以後の譲渡では、譲渡の翌年2月15日までに耐震改修か取壊しがされた場合も対象です。国土交通省の資料は、買主が行う工事も対象としています。国税庁の No.3306(2026年10月17日確認)は、工事を行う人を明記していません。売買契約書に工事の実施を明記し、税務署や市区町村で事前に確認します。

家屋の建築時期や被相続人の居住状況など、ほかの要件もあります。詳しくは3,000万円控除の記事で確認してください。最終判断は税理士・税務署へ相談してください。

あなたのケースでは、買取と仲介のどちらにしますか?

先に仲介の査定を取り、買取の見積りを比較に使うのが基本です。買取を選ぶのは、期限、物件の状態、手間の少なさが、価格の差より重い場合です。

判断の目安は次のとおりです。

あなたのケースでは、買取と仲介のどちらにしますか?
あなたの状況 目安
期限が近く、片付けや修繕が難しい 買取を比較に入れる
立地が良く、時間に余裕がある 仲介を先に試す。買取保証付きの仲介も選択肢
再建築不可・借地・共有持分など 買取専門の業者に見積りを取る価値が高い
売るかどうか未定、家族の意見が割れている 売却先を決める前に、合意と名義を整える
建物がなく土地だけで、手放したい 国庫帰属と買取の費用を比べる
持ち続けるコストを知りたい 保有コスト計算で確かめる

買取に向かない人もいます。できるだけ高く売りたい人、時間に余裕がある人、売却先が家族や親族に決まっている人です。また、買取を勧められても、1社の見積りだけで決めないことが大切です。

訳あり不動産(再建築不可、共有持分、借地権など)の買取を比べたい人向けに、買取査定を申し込める窓口があります。提携先は全国対応をうたっていますが、物件によっては買取の対象外になる場合があります。申込み前に、各社の案内を読んでください。

この記事で使える計算ツール

計算ツールは、本文の後に置く追加機能です。ツールが動かない環境でも、本文の説明と表の計算例だけで内容を読めます。

よくある質問

空き家の買取価格は、仲介の何割ですか?

大手の公開記載では、約6〜9割が目安です(三井のリハウスは約6〜8割、東急リバブルはマンションで7〜9割)。公的な統計はなく、戸建や地方の空き家への当てはめは未検証です。

買取と仲介で、手取りが同じになるのはいつですか?

モデルケース(仲介800万円、控除あり)では、買取価格が仲介の約95.9%以上のときです。仲介でだけ50万円の費用がかかる前提だと、約89.6%です。

買取なら、仲介手数料はかかりませんか?

買取は不動産会社が買主のため、仲介手数料は通常かかりません。印紙税、登記費用、譲渡所得税は仲介と同様に必要です。

買取業者に売ると、契約不適合責任はなくなりますか?

免除する条件で契約する例が多いとされますが、必ずではありません。免責の特約があっても、知りながら告げなかった事実は免れません(民法572条)。

残置物があっても、買い取ってもらえますか?

残置物のまま買い取る業者もあります。ただし、撤去費用は買取価格から引かれることがあります。

この記事の根拠

  1. 三井のリハウス「不動産買取とは?相場・仲介との違い・メリットを徹底解説」(更新2026-04-17の表示)(確認日 )
  2. 東急リバブル「買取と仲介の違い」(マンションが対象。更新2025-06-13の表示)(確認日 )
  3. 東急リバブル(市場価格の7〜8割程度との記載)(確認日 )
  4. 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号、令和6年国土交通省告示第949号による改正後。大阪府の掲載ページ)(確認日 )
  5. 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)3条 免許(有効期間5年)(確認日 )
  6. 民法(e-Gov法令検索)566条・572条(確認日 )
  7. 宮城県「宅地建物取引業法違反に係る監督処分」(処分情報の掲載期間は処分日から5年)(確認日 )
  8. 国税庁 No.7108 印紙税額の一覧表(第1号の1文書。令和8年4月1日現在法令等)(確認日 )
  9. 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(要件・譲渡後の耐震改修/取壊しの記載を再確認)(確認日 )
  10. 国土交通省 ネガティブ情報等検索サイト(宅地建物取引業者の処分情報を検索できる)(確認日 )
  11. 租税特別措置法(e-Gov法令検索)35条3項(確認日 )
  12. 国税庁 No.3208 譲渡所得の税率(長期)、No.3258 概算取得費5%(確認日 )

最終更新:2026年10月17日。数字は2026年10月時点の公開情報です。

  • 三井のリハウス「不動産買取とは?」(更新2026年4月17日の表示、2026年10月17日確認)
  • 東急リバブル「買取と仲介の違い」(更新2025年6月13日の表示、2026年10月17日確認)。市場価格の7〜8割程度の記載は2026年10月16日確認
  • 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号。令和6年国土交通省告示第949号による改正、同年7月1日施行。2026年10月17日確認)
  • 宅地建物取引業法3条、民法566条・572条(e-Gov法令検索、2026年10月17日確認)
  • 国税庁 No.7108(令和8年4月1日現在)、No.3306・3208・3258、租税特別措置法35条3項(2026年10月16日確認)
  • 宮城県「宅地建物取引業法違反に係る監督処分」(2026年10月17日確認)

この記事は一般的な情報です。個別の税額や特例の可否は、税理士・税務署にご確認ください。