第4章 実行|買取・訳あり
相続した別荘地・リゾートマンションを手放す:管理費の負担と出口の判定表
リゾートマンションの管理費は買い手にも請求され、別荘地は契約が無くても負担を求められる場合があります。建物があると国庫帰属は使えません。
- リゾートマンションの管理費・修繕積立金は、規約で決まり、手放すまで毎月かかります。滞納があると、買った人にも請求できます(区分所有法8条)。
- 別荘地の管理費は、管理契約や管理規約で決まります。契約がなくても、管理費相当額の支払いを命じた最高裁判決があります。
- 国庫帰属は、建物がある土地は申請できません。出口は物件の種類で分かれるため、判定表で確かめます。
相続した別荘地・リゾートマンションは、何が違い、なぜ手放しにくいのですか?
別荘地は土地(と建物)を持つもの、リゾートマンションは区分所有の建物の一室を持つものです。どちらも、使わなくても管理費がかかり続け、固定資産税もかかることがあるため、持ち続ける費用が先に積み上がります。
区分所有権とは、マンションの一室などの建物の部分を目的とする所有権です(区分所有法2条1項)。相続した人は区分所有者になります。売却や買取の価格に公的な統計はなく、査定で確かめます。
| 項目 | 別荘地(土地・戸建ての建物) | リゾートマンション(区分所有) |
|---|---|---|
| 持つもの | 土地と、あれば建物 | 専有部分と、敷地利用権 |
| 管理費の根拠 | 管理会社との契約、別荘地の管理規約など | 規約(区分所有法30条) |
| 国庫帰属 | 建物がなければ申請できる可能性 | 申請できない(後述) |
管理費・修繕積立金は、誰がいつまで払いますか?
管理費と修繕積立金は、所有している間は払い続けます。リゾートマンションは規約、別荘地は管理契約や管理規約などで決まり、相続した人が所有者として負担します。亡くなった方の滞納分は、相続人が引き継ぎます。
リゾートマンションでは、各区分所有者は規約に別段の定めがない限り、持分に応じて共用部分の負担を負います(区分所有法19条)。管理に関する事項は、規約で定められます(同法30条)。
滞納には、強い扱いがあります。管理組合は、滞納した区分所有者の区分所有権などに先取特権を持ちます(同法7条)。この債権は、売買などで取得した特定承継人にも請求できます(同法8条)。相続人は、亡くなった方の権利義務を包括して引き継ぎます(民法896条)。亡くなった方の滞納分も、金銭の債務として引き継ぎます。
別荘地には、区分所有法の定めはありません。別荘地の管理費について、最高裁判所第一小法廷は令和7年6月30日の判決(令和5(受)2461)で、管理契約を結ばず管理費を支払っていない土地所有者に、管理費として相当と認められる額の不当利得返還義務を認めました。大規模に開発され現在も別荘地として使われていること、管理業務を個々の土地所有者が単独で行えないことなどの事情が挙げられています。個別の事情で判断されるため、請求を受けたら弁護士に相談します。
| 確かめること | 資料・確認先 |
|---|---|
| 管理費・修繕積立金の額と滞納額 | 管理組合・管理会社への問い合わせ |
| 規約・管理規約・管理契約の内容 | 管理組合・管理会社、亡くなった方の書類 |
| 請求書の宛先と、請求の根拠 | 請求書、契約書 |
| 管理会社が変わっていないか | 管理会社への問い合わせ |
固定資産税は、別荘地・リゾートマンションにもかかりますか?
固定資産税は、別荘地にもリゾートマンションにもかかります。納税義務者は、毎年1月1日(賦課期日)に所有している人です(地方税法343条・359条)。登記の名義人が賦課期日前に亡くなっているときは、現に所有している人が対象です(同法343条2項)。
同じ市町村内の土地の課税標準額の合計が30万円、家屋が20万円に満たなければ、原則として課税されません(免税点、同法351条)。ただし、条例で課税できる場合があります。評価額は、毎年の課税明細書で確かめます。
モデルケース(見本の数字)。実在の物件ではありません。
条件:管理費・修繕積立金・固定資産税の額は、見本の数字です。値上がりや一時金は含めていません。
| 項目 | 別荘地(土地) | リゾートマンション |
|---|---|---|
| 管理費 | 月3,000円=年36,000円 | 月15,000円=年180,000円 |
| 修繕積立金 | なし | 月8,000円=年96,000円 |
| 固定資産税 | 年20,000円 | 年40,000円 |
| 年間の合計 | 56,000円 | 316,000円 |
| 5年間 | 280,000円 | 1,580,000円 |
| 10年間 | 560,000円 | 3,160,000円 |
自分の物件の数字は、空き家の保有コスト計算で試せます。保有の全体は空き家を持ち続けるコストとリスクにあります。
売る・買取・国庫帰属・持ち続けるは、どう分かれますか?
出口は、物件の種類と状態で分かれます。判定表で、自分の物件がどの行に当たるかを確かめ、確認が要る点から進めます。
| 物件の状態 | 売る(仲介) | 買取 | 国庫帰属 | 持ち続ける |
|---|---|---|---|---|
| 別荘地(建物なし) | 管理費の扱いを管理会社に確かめて売り出す | 対応は物件ごと | 申請できる可能性。管理費でトラブルのある別荘地は引き取れない可能性がある | 管理費と固定資産税が続く |
| 別荘地(建物あり) | 建物を残して売り出す | 対応は物件ごと | 建物を取り壊してから | 建物の維持費も加わる |
| リゾートマンション | 滞納額を精算して売り出す | 対応は物件ごと | 申請できない | 管理費・修繕積立金が続く |
| 管理費の滞納がある | 滞納額の精算が先 | 滞納額を確かめてから | 管理費でトラブルがあると、引き取れない可能性がある | 滞納が増え続ける |
名義が亡くなった方のままなら、先に相続登記が要ります(売る前の相続登記)。売れないときの順番は売れないときの対処、種類別の全体は訳あり不動産の種類一覧にあります。
国庫帰属は、別荘地とリゾートマンションで使えますか?
別荘地は、建物がなければ使える可能性があります。リゾートマンションは使えません。相続土地国庫帰属制度の対象は土地で、建物の存する土地は申請できないためです(相続土地国庫帰属法2条1項・3項1号)。
相続土地国庫帰属制度とは、相続等で取得した土地を、一定の要件で国に引き取ってもらう制度です(法務省)。法務省のQ&Aは、建物の登記がなくても、現に建物があれば申請できない(7-2)、建物は原則として取り壊す必要がある(7-4)としています。マンションの敷地には建物が存するため、条文のとおり申請できません。
別荘地については、法務省のQ&A(8-14)が次のように答えています。「別荘地」というだけで直ちに引き取れないことはありません。ただし、管理費の支払いを巡ってトラブルになるような別荘地は、引き取れない可能性があります。要件の全体は相続土地国庫帰属制度、事前の確認は国庫帰属の要件チェックで確かめられます。
売る・買取に出す前に、何を確かめますか?
売る・買取に出す前に、管理費の額と滞納額、規約や管理契約の内容、名義の3点を確かめます。買主へは、区分所有建物の管理費用の額や修繕積立金などが重要事項として説明されるためです(宅地建物取引業法35条1項6号、同法施行規則16条の2)。
滞納があるときは、買った人に請求が及ぶ可能性があるため(区分所有法8条)、売る前に滞納額を確かめ、精算の方法を決めます。別荘地では、管理会社への名義変更の手続や、共用部分の使い方も確かめます。買取と仲介の違いは空き家の買取と仲介、どちらが得かで扱っています。
相続放棄という選択肢はありますか?
相続放棄は、自分のために相続が始まったと知った時から3か月以内にします(民法915条1項)。放棄すると、初めから相続人でなかったとみなされます(民法939条)。別荘や別荘地だけを選ぶことはできず、相続財産の全体が対象です。
手続の詳細は、姉妹サイトのふれあいの丘(運営:株式会社Kogera)で確かめられます。放棄するかどうかは期限と影響が大きいため、弁護士・司法書士にご相談ください。
あなたのケースでは、どこから始めますか?
相続した別荘地・リゾートマンションは、管理費と滞納額の確認から始めます。その金額と物件の種類で、出口の判定表のどの行に当たるかが決まります。
| あなたの状況 | 最初の一歩 |
|---|---|
| 管理費の額と滞納額が分からない | 管理組合・管理会社に問い合わせる |
| 別荘地で建物がない | 国庫帰属の要件を確かめ、売却と比べる |
| 別荘地で建物がある | 取り壊す費用を見積もり、売却と比べる |
| リゾートマンション | 売る・買取・持ち続けるで比べる |
| 相続から3か月がたっていない | 放棄の期限を確かめ、専門家に相談する |
| すぐに決められない | 保有コスト計算で、年と10年の費用を出す |
別荘地・リゾートマンションなど、売りにくい不動産の買取を問い合わせできる窓口があります。対応できるかは物件ごとに異なり、対象外になる場合があります。価格を最優先する人、国庫帰属を先に確かめたい人、手放すかどうか家族で決まっていない人には向きません。申込み前に、各社の案内を読んでください。
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よくある質問
相続した別荘地の管理費は、管理契約がなくても払う必要がありますか?
管理契約を結んでいなくても、管理費相当額の返還義務を認めた最高裁判決(令和7年6月30日)があります。判断は個別の事情によるため、請求を受けたら弁護士に相談します。
リゾートマンションの管理費を滞納したまま売ると、どうなりますか?
滞納した管理費は、買った人にも請求できます(区分所有法8条)。管理組合は先取特権も持つため(同法7条)、売る前に滞納額を確かめ、精算の方法を決めます。
別荘やリゾートマンションは、国庫帰属で手放せますか?
別荘地は、建物がなければ申請できる可能性があります。建物の存する土地は申請できないため、リゾートマンションは使えません。
別荘だけ相続放棄できますか?
できません。相続放棄は相続財産の全体が対象で、3か月以内にします(民法915条・939条)。
この記事の根拠
- 建物の区分所有等に関する法律(e-Gov法令検索)2条・7条・8条・19条・30条(確認日 )
- 最高裁判所第一小法廷 令和7年6月30日判決 不当利得返還等請求事件(令和5(受)2461)(確認日 )
- 地方税法(e-Gov法令検索)343条・351条・359条(確認日 )
- 民法(e-Gov法令検索)896条・915条・939条(確認日 )
- 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(e-Gov法令検索)2条1項・3項・5条1項(確認日 )
- 法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」(7-2・7-4・8-14)(確認日 )
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)35条1項6号、同法施行規則16条の2(区分所有建物の重要事項説明:管理費用の額・修繕積立金など)(確認日 )
- 裁判所「相続の放棄の申述」(確認日 )
最終更新:2026年10月25日。制度の内容は2026年10月時点の法令と公表資料です。
- 区分所有法・地方税法・民法・宅地建物取引業法・相続土地国庫帰属法(e-Gov法令検索)
- 最高裁判所の令和7年6月30日判決、法務省の国庫帰属Q&A、裁判所の相続放棄の案内
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