第3章 判断|ツール

国庫帰属の要件チェック:却下・不承認の確認と費用の概算

国庫帰属の要件チェックは、相続した土地が却下・不承認の要件に当たるかを質問で確認し、審査手数料と負担金の概算まで出すツールです。

  • 質問に答えると、相続土地国庫帰属制度(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律、法務省)の「申請できない土地(却下)」と「承認されない土地(不承認)」の要件に当たるかを確認できます。
  • 土地の種目・区域・面積を入れると、審査手数料(1筆14,000円)と負担金(原則20万円、一部は面積式)の概算が出ます。
  • 結果は目安です。最終的な判断は、法務局(本局)が行います。事前相談で確認してください。

公開 /更新 /執筆・編集:実家の手引き 編集部(運営者情報)

このツールで何がわかりますか?

相続した土地が国庫帰属の要件に当たるかと、かかる費用の概算が、この要件チェックでわかります。判定の根拠は、国庫帰属法2条〜5条と、同法施行令2条〜6条です。結果には根拠の条文を表示します。

結果は4つに分かれます。

このツールで何がわかりますか?
結果 意味 次にすること
申請できない見込み(却下) 却下の要件に当たる回答がある 要件を解消できるか確認する(建物の解体、担保権の抹消など)
承認されない可能性(不承認) 不承認の要件に当たる回答がある 崖・地上物・埋設物などの有無を現地で確認する
要確認 「わからない」の回答がある 登記事項証明書、境界の資料、市区町村の窓口で調べる
要件に当たらない見込み 当たる回答がない 法務局の事前相談を予約する

費用は、土地の種目、区域、地積から、負担金の算定式で計算します。隣り合う土地をまとめて申請する特例(施行令6条)にも対応します。

何を入力しますか?

入力は、土地の状況の質問と、費用の計算に必要な4項目です。質問は、「はい」「いいえ」「わからない」で答えます。

何を入力しますか?
区分 入力 例
申請者 相続または相続人への遺贈で取得したか。共有の場合は全員で申請するか はい/いいえ
却下の要件 建物、担保権・使用収益権、通路などの他人使用の土地、土壌汚染、境界の不明・争い はい/いいえ/わからない
不承認の要件 崖、地上の物、地下の物、隣接者との争い、災害のおそれ、鳥獣・病害虫、森林の追加整備、国の金銭債務 はい/いいえ/わからない
費用 土地の種目(宅地・農地・森林・その他)、区域(市街化区域など)、地積(㎡)、筆数 宅地、市街化区域内、120㎡、1筆

地積は、登記事項証明書に記載された面積を使います。法務省Q&Aは、面積は登記記録の地積が基準としています。

結果はどう読みますか?

結果の見方は、費用と要件で別です。要件は、1つでも当たれば、その区分の結果になります。却下と不承認の両方に当たる場合は、却下を先に表示します。

  • 却下に当たるもの:申請自体ができません。審査手数料は返還されないため、申請の前に解消する必要があります(法務省Q&A)。
  • 不承認に当たるもの:申請はできますが、承認されません。地上の物のように、申請前に取り除けるものもあります。
  • 要確認:調べてから、もう一度チェックしてください。
  • 費用:審査手数料と負担金の合計です。申請前の解体・測量・残置物の処分などは含みません。

法務省の統計(令和8年8月31日時点)では、取下げ1,139件のうち405件が「却下・不承認であることが判明」したものです。事前のチェックで、手数料を払ってから取り下げる事態を減らせます。

負担金は、どんな式で計算しますか?

負担金は、土地の種目と区域で区分を決め、区分ごとの「地積×単価+加算額」の式で計算し、千円未満を切り捨てます(国庫帰属法施行令5条)。面積式の区分に当たらない土地は、一律20万円です。

負担金は、どんな式で計算しますか?
区分 式を使う土地 式の形
宅地 市街化区域内(区域区分のない都市計画区域では用途地域内) 地積の6区分ごとに「地積×単価+加算額」
農地 市街化区域内・農用地区域内・土地改良事業等の施行区域内 地積の6区分ごとに「地積×単価+加算額」
森林 場所を問わない 地積の6区分ごとに「地積×単価+加算額」
上記以外 市街化区域外の宅地、その他の土地 一律200,000円

審査手数料は、負担金とは別に1筆14,000円です。全区分の単価と加算額の表は、相続土地国庫帰属制度に載せています。

計算例:モデルケースではいくらですか?

次の表は、施行令5条の式で本サイトが計算した見本の数字です。画面を開く前の、この表だけでも検算できます。

モデルケース:見本の数字|計算例:モデルケースではいくらですか?
土地の例 計算 負担金 審査手数料を足した総額(1筆)
市街化区域内の宅地 120㎡ 120×2,450+303,000=597,000 597,000円 611,000円
市街化区域外の宅地 200㎡ 面積式の対象外 200,000円 214,000円
農用地区域内の農地 600㎡ 600×810+318,000=804,000 804,000円 818,000円
森林 2,000㎡ 2,000×17+248,000=282,000 282,000円 296,000円
市街化区域内の宅地 60㎡+70㎡(隣接・1筆とみなす) 130×2,450+303,000=621,500→621,000 621,000円 649,000円(2筆分の手数料28,000円)

隣接する2筆を別々に計算すると、439,000円+466,000円=905,000円です。1筆とみなすと621,000円で、284,000円少なくなります。

要件の判定の例:

モデルケース:見本の数字|計算例:モデルケースではいくらですか?
回答 結果
建物が「ある」 申請できない見込み(却下)。国庫帰属法2条3項1号
地上に古い車やブロック塀が「ある」 承認されない可能性(不承認)。同法5条1項2号。撤去すれば解消
境界が「わからない」 要確認。境界が明らかでないと却下(同法2条3項5号)

前提と、できないことは何ですか?

国庫帰属の要件チェックは、法令の要件を質問に置き換えたものです。判定できるのは、利用者の回答が正しい場合の、要件の該当有無です。

  • 法務局が行う審査(書面審査・実地調査)の結果を、予測するものではありません。
  • 土壌汚染、崖の「過分の費用」、境界の明確さなどは、利用者の回答に頼ります。
  • 申請前の費用(解体、測量、残置物の処分、書類の取得)は、公的な相場がないため、計算に含めていません。
  • 負担金は、令和8年10月17日時点の施行令5条の式で計算しています。法令が改正されると変わります。
  • 登記記録の地積と、実測の面積が違う場合は、登記記録の地積を使います。
  • 個別の法律判断や、書類の作成は行いません。司法書士・弁護士・法務局の事前相談にご確認ください。

建物の解体や片付けは、姉妹サイトのふれあいの丘(運営:株式会社Kogera)で、自治体の補助金を調べられます。

計算フォーム

計算フォームは、本文の後に置く追加機能です。入力欄が動かない環境でも、本文の説明と静的な計算例で内容を確認できます。

よくある質問

国庫帰属の要件チェックは、何を判定しますか?

却下の要件(国庫帰属法2条3項、4条)と、不承認の要件(同法5条1項、施行令4条)に当たるかを、質問への回答から判定します。審査の結果そのものを予測するものではありません。

負担金は、どの土地で面積によって増えますか?

市街化区域内の宅地、市街化区域・農用地区域・土地改良事業等の施行区域内の農地、場所を問わない森林です(施行令5条1項)。それ以外は一律20万円です。

隣り合う2筆を同時に申請すると、負担金は安くなりますか?

土地の区分が同じなら、1筆とみなして計算する申出ができます(施行令6条)。面積式の土地では、合計面積で計算するため、別々に計算するより安くなる場合があります。申出は、承認がされるまでに、申請した法務局の本局に行います。

要件に当たった土地は、あきらめるしかありませんか?

解消できる要件もあります。建物は取り壊し、地上の物は撤去し、担保権は抹消すれば、要件に当たらなくなります。境界が不明な場合は、隣地の所有者との確認が必要で、時間がかかります。解消が難しい場合は、売却や買取も比べてください。

この記事の根拠

  1. 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)2条・3条・4条・5条・10条(確認日 )
  2. 同法施行令(令和4年政令第316号)2条・3条・4条・5条・6条(確認日 )
  3. 法務省:相続土地国庫帰属制度の概要(確認日 )
  4. 法務省:相続土地国庫帰属制度に関するQ&A(確認日 )
  5. 法務省:相続土地国庫帰属制度の負担金(確認日 )
  6. 法務省:相談対応(確認日 )
  7. 法務省:相続土地国庫帰属制度の統計(令和8年8月31日現在)(確認日 )
  • 国庫帰属法(令和3年法律第25号)、同法施行令(令和4年政令第316号):e-Gov法令検索(現行条文)
  • 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」「Q&A」「負担金」「相談対応」「統計」
  • 計算例は、施行令5条の式による本サイトの計算です。

この記事は一般的な情報です。個別の事案の判断に代わるものではありません。更新日:2026年10月17日。