第4章 実行|ツール

相続した家の売却手取り計算:仲介手数料・譲渡所得税・控除の比較

相続した家の売却手取り計算は、売却価格から仲介手数料・譲渡費用・税金を引いた手取りを、3,000万円控除と取得費加算の有無を並べて出すツールです。

  • 売却価格を入れると、仲介手数料の上限、印紙税、譲渡所得税、住民税、手取りを計算します。控除なし、3,000万円控除、取得費加算の3通りを並べて表示します。
  • 長期譲渡所得の税率は20.315%(所得税15%、復興特別所得税(所得税額の2.1%)、住民税5%)、短期は39.63%です。相続した家は、被相続人が取得した日から所有期間を数えます。
  • 3,000万円控除と取得費加算は、併用できません。結果は計算上の目安です。最終的な判断は、税理士・税務署にご確認ください。

公開 /更新 /執筆・編集:実家の手引き 編集部(運営者情報)

このツールで何がわかりますか?

相続した家や土地を売ったときに手元に残る金額の目安が、この手取り計算でわかります。仲介手数料や税金を引いた後の金額を、控除の使い方ごとに比べられます。

このツールで何がわかりますか?
表示する項目 内容
仲介手数料 売却価格から、上限額を自動で計算
印紙税 売買契約書の金額から自動で計算(軽減措置の期限内)
譲渡費用 仲介手数料、印紙税、測量費、解体費、立退料、その他
譲渡所得 売却価格から、取得費と譲渡費用を引いた金額
税額 所得税、復興特別所得税、住民税
手取り 売却価格から、譲渡費用と税金を引いた金額
3通りの比較 控除なし/3,000万円控除/取得費加算

何を入力しますか?

入力は、売却価格だけでも計算できます。それ以外は、わかる範囲で入力します。

何を入力しますか?
入力 必須 内容
売却価格 必須 売買契約書の金額(円)
売却方法 任意 仲介/買取。買取は、仲介価格に対する割合を入力
譲渡の年 必須 長期・短期の判定に使う
被相続人が取得した日 任意 不明な場合は、長期か短期かを直接選ぶ
取得費(購入代金など) 任意 不明な場合は、売却価格の5%で計算
譲渡費用 任意 測量費、売却のための解体費、立退料、その他
仲介手数料の計算 任意 通常の上限/800万円以下の特例の上限/手入力
相続人の人数と持分 任意 3,000万円控除の上限(3人以上は2,000万円)と、1人分の計算に使う
相続税額など 任意 取得費加算の計算に使う。相続税がかかっていない場合は入力しない

結果はどう読みますか?

結果は、控除の使い方ごとに3列で表示します。税額が小さい列の手取りが大きくなります。ただし、どれが使えるかは、要件を満たすかで決まります。

  • 控除なし:特例を使わない場合の税額です。
  • 3,000万円控除:被相続人居住用財産の特例です。要件(昭和56年5月31日以前の建築など)を満たす場合に使えます。要件の判定は、判定ツールで行います。このツールは、期限と金額の上限だけを確認します。
  • 取得費加算:相続税を払った人が、払った相続税の一部を取得費に足す特例です。相続税が課されていない場合は使えません。

どちらが有利かは、計算結果の比較です。特例の選択は、税理士・税務署にご確認ください。

計算の考え方は、次の3つの式です。

譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用(仲介手数料・印紙税などを含む)
税  額 = (譲渡所得 − 特別控除)× 税率
手 取 り = 売却価格 − 譲渡費用 − 税額

「手取り」は、売却価格から譲渡費用と税金を引いた金額です。売却後の翌年度に増える可能性がある国民健康保険料・介護保険料や、相続登記の費用、残置物の処分費、ローンの返済は含みません。翌年度への影響は、売却翌年の確定申告で解説します。

計算例:モデルケースの手取りはいくらですか?

次の表は、本サイトの計算によるモデルケース(見本の数字)です。画面を開く前の、この表だけでも検算できます。条件は、被相続人の取得から5年超(長期)、取得費は不明(売却価格の5%)、土地建物をまとめて売却、売主は1人、仲介で売却、2026年(令和8年)中の契約です。

売却価格1,800万円の場合

モデルケース:見本の数字|売却価格1,800万円の場合
項目 控除なし 3,000万円控除 取得費加算(見本)
売却価格 18,000,000円 18,000,000円 18,000,000円
取得費(概算:5%) 900,000円 900,000円 900,000円+400,000円
仲介手数料(上限) 660,000円 660,000円 660,000円
印紙税 10,000円 10,000円 10,000円
譲渡所得(特例の前) 16,430,000円 16,430,000円 16,430,000円
特別控除 0円 16,430,000円 0円
課税譲渡所得 16,430,000円 0円 16,030,000円
所得税+復興特別所得税 2,516,200円 0円 2,454,900円
住民税 821,500円 0円 801,500円
税額の合計 3,337,700円 0円 3,256,400円
手取り 13,992,300円 17,330,000円 14,073,600円

計算の内訳は次のとおりです。

  • 仲介手数料:(18,000,000円×3%+60,000円)×1.1=660,000円
  • 印紙税:契約金額1,000万円超5,000万円以下の軽減後の税額10,000円
  • 譲渡所得:18,000,000−900,000−660,000−10,000=16,430,000円
  • 控除なしの所得税等:16,430,000×15%=2,464,500円、復興特別所得税は2,464,500×2.1%=51,754円。合計の100円未満を切り捨てて2,516,200円。住民税は16,430,000×5%=821,500円
  • 取得費加算(見本):相続税額2,000,000円×(譲渡した財産の評価額12,000,000円÷相続税の課税価格の基礎60,000,000円)=400,000円(これらの数字は見本です)

3,000万円控除を使うと、この例では税額が0円になり、手取りは控除なしより3,337,700円多くなります。

売却価格6,000万円で、相続人が3人の場合

同じ6,000万円の売却でも、売る名義の分け方で、控除の上限が変わります。次の表は、仲介手数料と印紙税の合計(2,076,000円)を、持分で按分した見本です。

モデルケース:見本の数字|売却価格6,000万円で、相続人が3人の場合
ケース 1人あたりの譲渡所得 3,000万円控除 1人あたりの税額 手取り(全員の合計)
A:相続人1人が全部を取得して売る(上限3,000万円) 54,924,000円 30,000,000円 5,063,300円 52,860,700円
B:相続人3人が3分の1ずつ売る(各人の上限2,000万円) 18,308,000円 18,308,000円 0円 57,924,000円(1人19,308,000円)

Bは、各人の譲渡所得が2,000万円の上限より小さいため、税額が0円になります。名義の分け方や、遺産分割の方法で税額が変わる場合があります。遺産分割協議書の書き方を含め、必ず税理士にご確認ください。

前提と、できないことは何ですか?

相続した家の売却手取り計算は、令和8年(2026年)10月17日時点の法令にもとづく概算です。実際の税額は、確定申告で決まります。

  • 仲介手数料:国土交通省の報酬告示にもとづく上限額です。売買価格のうち200万円以下の部分は5%、200万円超400万円以下の部分は4%、400万円超の部分は3%(それぞれ税別)で、実際の金額は契約で決まります。800万円以下の「低廉な空家等」は、上限が30万円(税別)になります。この特例を使うには、媒介契約の前に報酬額を説明し、合意する必要があります(国土交通省)。
  • 印紙税:軽減措置は、令和9年(2027年)3月31日までに作成される契約書が対象です(国税庁No.7108)。それ以降の契約は、手入力が必要です。
  • 税率:長期20.315%・短期39.63%は、2027年(令和9年)1月1日以後も同じです。復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税1%に分かれますが、合計は2.1%です(国税庁)。
  • 取得費:不明なとき、または実額が売却価格の5%より小さいときは、売却価格の5%を取得費にできます(国税庁No.3258)。
  • 解体費:売却のための取壊し費用は、譲渡費用に含められます(国税庁No.3202)。ただし、3,000万円控除でも、解体してから売る場合の要件があります。
  • 譲渡損失:譲渡所得がマイナスなら、税額を0円と表示し、損益通算や繰越控除は計算しません。
  • 買取の場合:買取価格の割合は利用者が入力し、仲介手数料は0円とします。
  • 対象外:事業用の不動産、収用などの他の特例との併用、居住用財産の譲渡損失の特例は計算しません。

売却前の片付けや解体の補助金は、姉妹サイトのふれあいの丘(運営:株式会社Kogera)で調べられます。

計算フォーム

計算フォームは、本文の後に置く追加機能です。入力欄が動かない環境でも、本文の説明と静的な計算例で内容を確認できます。

よくある質問

相続した家を売ったときの税金は、いくらですか?

長期譲渡所得(所有期間5年超)は、譲渡所得の20.315%(所得税15%、復興特別所得税(所得税額の2.1%)、住民税5%)です。短期(5年以下)は39.63%です(国税庁No.3208・No.3211)。相続した家は、被相続人の取得日から所有期間を数えます。

仲介手数料は、いくらまで払いますか?

売買価格400万円超の場合、上限は「売買価格×3%+6万円」(税別)に消費税10%を加えた額です。800万円以下の「低廉な空家等」は30万円(税別)までで、消費税を加えると33万円です(国土交通省、令和6年7月1日施行)。

取得費が分からないときは、どうしますか?

売却価格の5%を取得費にできます(国税庁No.3258)。実際の取得費が5%より小さい場合も、5%を使えます。取得費が分からない場合は、5%で計算できます。

3,000万円控除と取得費加算は、両方使えますか?

併用できません。国税庁No.3306は、取得費加算など他の特例を受けていないことを、3,000万円控除の要件にしています。どちらを使うかは、税額を比べて選びます。個別の判断は税理士・税務署にご確認ください。

手取りに含まれない費用は何ですか?

相続登記の費用、残置物の処分費、遺品整理費、ローンの返済、売却翌年の国民健康保険料などの増加は含みません。国税庁No.3202が譲渡費用の例に挙げるのは、仲介手数料、測量費、印紙代、立退料、売却のための取壊し費用などです。残置物の処分費などが当たるかは、税務署・税理士に確認してください。

この記事の根拠

  1. 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算(確認日 )
  2. 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額(確認日 )
  3. 国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額(確認日 )
  4. 国税庁 No.3258 取得費が分からないとき(確認日 )
  5. 国税庁 No.3306 空き家を売ったときの特例(確認日 )
  6. 国税庁 No.3267 相続財産の取得費の特例(確認日 )
  7. 国税庁 No.7108 不動産譲渡の契約書の印紙税の軽減(確認日 )
  8. 租税特別措置法31条・35条3項・39条(確認日 )
  9. 国税通則法118条・119条(端数計算)(確認日 )
  10. 国土交通省:空き家等の媒介報酬規制の見直し(令和6年7月1日施行)(確認日 )
  11. 大阪府:宅建業者の報酬額の告示(令和6年6月21日改正)(確認日 )
  12. 国税庁 防衛特別所得税のあらまし(令和9年1月以後)(確認日 )
  13. 国土交通省 令和9年度税制改正要望事項(令和8年8月)(確認日 )

計算例は、本サイトによる計算です。出典は上の一覧のとおり、国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)、e-Gov法令検索、国土交通省・大阪府の報酬告示です。

この記事は一般的な情報です。個別の税務相談に代わるものではありません。最終判断は、税理士・税務署にご確認ください。更新日:2026年10月17日。