第4章 実行|売る

相続した家の売却スケジュール表(エクセル無料):相続から確定申告までの期限と段取り

相続した家の売却スケジュール表は、亡くなった日と売却予定日から、法令の期限と段取りの目安日を1枚に並べるエクセルです。

  • 亡くなった日と決済・引渡し予定日を入れると、期限(7行)と段取り(8行)の日付が並びます。相続放棄・相続税・相続登記・3,000万円控除の期限から、査定、確定申告までを1枚で見られます。無料のエクセルを用意しました。
  • 期限の計算規則は、期限カレンダーと同じです。ただし、エクセルは国税の休日の繰り下げをしません。正確な日は期限カレンダーで確かめます。
  • 段取りの所要日数は、公的な標準がない目安(見本)です。黄色の欄を自分のケースに書き換えます。

  • 売却スケジュール表(Excel)(1枚目が白紙の表、2枚目が記入例、3枚目が各行の説明。A4横1枚で印刷できます)

公開 /更新 /執筆・編集:実家の手引き 編集部(運営者情報)

相続した家の売却スケジュール表とは何で、何が分かりますか?

相続した家の売却スケジュール表とは、亡くなった日と売却予定日を入れると、売却に関わる期限と段取りの日付を1枚に並べるエクセルです。法令や制度で決まる期限(A)と、決済日から逆算した段取り(B)に、24か月分の月ごとの表(ガント表)が付きます。

相続した家の売却スケジュール表とは何で、何が分かりますか?
部分 行数 中身
A 期限 7行 相続放棄、相続税の申告・納付、相続登記、3,000万円控除、取得費加算、売却翌年の確定申告、空き家特例の工事
B 段取り 8行 遺産分割、相続登記、査定、媒介契約、売り出し、売買契約〜決済、決済・引渡し、確認書の申請
月ごとの表 24か月 橙は期限、藍は段取り。今日の月は見出しが黄色

スケジュール表は、どう使いますか?

スケジュール表は、黄色の欄に日付を入れるだけで使えます。入れるのは、亡くなった日と決済・引渡し予定日の2つが基本です。

  1. 「亡くなった日(相続開始日)」を入れる。必須です。
  2. 「決済・引渡し予定日」を入れる。段取りの逆算と、確定申告の年の判定に使います。
  3. 「知った日」が亡くなった日と違うときは、その日を入れる。空欄なら亡くなった日で計算します。
  4. 相続税の申告が必要になる見込みを選ぶ。「いいえ」で、取得費加算が対象外になります。
  5. 段取りの所要日数(D列)を、自分のケースに合わせて書き換える。

結果の列は、「今日から」の日数と「確認」の注意です。今日より前に始まる段取りは、赤字で「短縮・前倒しが必要」と出ます。

スケジュール表は、どう使いますか?
色・表示 意味
黄色の欄 入力欄
灰色の欄 自動で計算される欄
橙と▲ 法令・制度の期限がある月
藍 段取りの期間

期限(A)は、どんな規則で計算していますか?

期限は、起算日の翌日から数え、月数だけ進めた応当日(同じ日付)を最終日にします(民法140条・143条)。応当日がない月は、その月の末日です。エクセルの月を進める関数(EDATE)が、この規則と同じ結果になります。

期限(A)は、どんな規則で計算していますか?
期限 計算 根拠
相続放棄 知った日の3か月後 民法915条1項
相続税の申告・納付 知った日の10か月後 国税庁 No.4205
相続登記 知った日の3年後。2024年4月1日より前に知った未登記は2027年3月31日 法務省
3,000万円控除 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日と、2027年12月31日の早い方 租税特別措置法35条3項、国税庁 No.3306
取得費加算 相続税の申告期限の3年後 国税庁 No.3267
売却翌年の確定申告 売却予定日の翌年の2月16日〜3月15日 国税庁 No.2020
空き家特例の工事 売却予定日の翌年の2月15日(売却後に耐震改修・解体をする場合) 国税庁 No.3306

エクセルは、土曜・日曜・祝日・年末年始の繰り下げをしません。国税の期限は、休日などに当たると翌日以後の最初の平日になります(国税通則法10条2項)。相続税の申告と確定申告が対象です。相続放棄と相続登記は、翌日になるか確認できていないため、延ばさずに表示します。

取得費加算は、期限カレンダーが繰り下げ後の申告期限から数えるため、エクセルと1日以上ずれることがあります。曜日の列と、土日に当たるときの注意で気づけます。

段取り(B)の所要日数は、どう決めていますか?

所要日数は、決済・引渡し予定日から逆にたどる見本の日数です。公的な標準があるのは、媒介契約の有効期間の上限(3か月)などごく一部で、ほかは目安です。

モデルケース:見本の数字|段取り(B)の所要日数は、どう決めていますか?
段取り 見本の日数 公的な定め
遺産分割・共有者の合意 60日 なし。共有物全体の売却は全員の同意が原則(民法251条)
相続登記 30日 なし。期限は3年(A)
査定を複数社に頼み、比べる 14日 なし
媒介契約を結ぶ 14日 専任・専属専任の有効期間は3か月が上限
売り出し・内覧・交渉 90日 なし。専任・専属専任の有効期間の上限に合わせた見本
売買契約から決済・引渡し 30日 契約で決める
確認書の申請〜交付 21日 なし。自治体で約1〜3週間(確認書の記事)

売れるまでの期間は、物件で大きく違います。売れないときの道は、売れないときの対処で扱っています。

見本(架空)では、日付はどう並びますか?

見本では、2026年8月20日に亡くなり、2027年9月30日に決済すると、最初の期限は相続放棄の2026年11月20日です。最後の段取りは、確定申告の期限の2028年3月15日です。今日は2026年10月25日、相続税の申告は必要、として計算しました。数字は架空の見本です。

A 期限(見本)
期限 日付 今日から
相続放棄 2026年11月20日(金) 26日後
相続税の申告・納付 2027年6月20日(日) 238日後
相続登記 2029年8月20日(月) 1,030日後
3,000万円控除(売る期限) 2027年12月31日(金) 432日後
取得費加算(売る期限) 2030年6月20日(木) 1,334日後
売却翌年の確定申告 2028年2月16日〜3月15日(水) 507日後
空き家特例の工事 2028年2月15日(火) 478日後

相続税の申告は、6月20日が日曜日のため、実際の期限は翌日の6月21日(月)になります。期限カレンダーは、この日に直して表示します。取得費加算も、期限カレンダーでは2030年6月21日(金)です。

B 段取り(見本)
段取り 開始日 終了日
遺産分割・共有者の合意 2027年2月4日 2027年4月5日
相続登記 2027年4月5日 2027年5月5日
査定を比べる 2027年5月5日 2027年5月19日
媒介契約を結ぶ 2027年5月19日 2027年6月2日
売り出し・内覧・交渉 2027年6月2日 2027年8月31日
売買契約〜決済 2027年8月31日 2027年9月30日
確認書の申請〜交付 2028年2月23日 2028年3月15日

売却予定日の2027年9月30日は、3,000万円控除の期限(2027年12月31日)の前で、取得費加算の期限の前でもあります。

期限が近い場合は、どう読みますか?

期限が近いと、逆算した段取りの開始日が、今日より前になります。2023年8月20日に亡くなり、2026年12月31日に決済する見本では、3,000万円控除の期限が2026年12月31日で、今日から67日後です。

この見本では、遺産分割から売り出しまでの5つの段取りが、開始日が2026年5月〜9月で、今日より前になります。赤字の「短縮・前倒しが必要」が出た行は、並行して進める、日数を縮める、期限を満たす売却が可能かを専門家に確かめる、のどれかが要ります。

段取りごとに、何に気をつけますか?

段取りごとの注意は、順番・同意・書類の3点です。次の表は、本サイトの各記事の要約です。

段取りごとに、何に気をつけますか?
段取り 注意 詳しい記事
相続放棄を考える間 相続財産の一部を処分すると、単純承認とみなされる場合がある(民法921条1号)。放棄を考えている間は、売却を進めず、家庭裁判所・弁護士に確かめる 最初にやること
相続登記 売るには、名義を相続人にする相続登記が事実上必要。相続人申告登記だけでは売れない(法務省) 売る前の相続登記
共有・遺産分割 共有物全体の売却は、共有者全員の同意が原則(民法251条) 共有名義の実家を売る
査定・媒介契約 査定の依頼は売却の依頼ではない。専任・専属専任の有効期間は3か月が上限 査定の比較表、会社の選び方
売買契約・決済 決済の前に必要書類をそろえる。鍵・公共料金・精算も確かめる 必要書類、引渡し前チェックリスト
確定申告 3,000万円控除は、申告書に適用を受ける旨を書き、確認書などを添付した場合に限って適用される(租税特別措置法35条12項) 確定申告、確認書

契約の日と引渡しの日が年をまたぐときは、申告の年が変わる場合があります。譲渡所得の収入の計上時期は、原則は引渡しの日で、納税者の選択で契約の効力発生日にもできます(所得税基本通達36-12)。このシートは、売却予定日の翌年を申告の年としています。

期限に間に合いそうにないときは、どうしますか?

期限に間に合いそうにないときは、まず期限カレンダーで正確な日を確かめ、3,000万円控除と取得費加算のどちらが使えるかを比べます。両方は併用できません(国税庁 No.3306)。

期限に間に合いそうにないときは、どうしますか?
状況 次の一歩
3,000万円控除の期限まで3か月未満 期限カレンダーで日を確かめ、判定ツールで要件を確かめ、税理士・税務署に相談する
控除の期限を過ぎる 取得費加算の期限と、税額を売却の税金で比べる
売る方向が決まっていない 売るかどうかの判断から。出口は7つある
売れそうにない 売れないときの対処を見る

期限が近く、仲介で買主を探す時間を取りにくい古い空き家には、買取業者へ直接査定を頼める窓口があります。買取の価格は、仲介の査定額より低いことがあります。手数料を引いた手取りと比べてから決めてください。

売るかどうか決まっていない人、共有者の同意が取れていない人には向きません。申込み前に、提携先の案内を読んでください。

この記事で使える計算ツール

ご自分の数字で、記事の内容を計算できます。入力した数字は、どこにも送信しません。

よくある質問

相続した家の売却スケジュール表は、エクセルで無料でもらえますか?

本ページのスケジュール表(Excel)を無料で使えます。記入例のシートと、各行の説明のシートが付いています。

期限が土日祝に当たったら、翌日になりますか?

国税の期限は、翌日以後の最初の平日になります(国税通則法10条2項)。相続放棄と相続登記は、確認できていません。このエクセルはどれも延ばさないので、正確な日は期限カレンダーで確かめてください。

3,000万円控除は、いつまでに売ればよいですか?

相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。ただし、制度の適用は2027年12月31日までの譲渡なので、早い方が期限です(租税特別措置法35条3項)。

段取りの所要日数は、そのまま使えますか?

そのままではなく、目安です。公的な標準があるのは、媒介契約の有効期間の上限(3か月)などごく一部です。物件や相続人の数で変わるため、書き換えてください。

この記事の根拠

  1. 民法(e-Gov法令検索)140条・143条(期間の計算)、915条(相続放棄の期間)、921条(法定単純承認)、251条(共有物の変更)(確認日 )
  2. 国税通則法(e-Gov法令検索)10条(期間の計算及び期限の特例)(確認日 )
  3. 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)34条の2(媒介契約の有効期間)(確認日 )
  4. 租税特別措置法(e-Gov法令検索)35条3項・12項(確認日 )
  5. 国税庁 タックスアンサー No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(令和8年4月1日現在法令等)(確認日 )
  6. 国税庁 タックスアンサー No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(令和8年4月1日現在法令等)(確認日 )
  7. 国税庁 タックスアンサー No.4205 相続税の申告と納税(令和8年4月1日現在法令等)(確認日 )
  8. 国税庁 タックスアンサー No.2020 確定申告(令和8年4月1日現在法令等)(確認日 )
  9. 国税庁 所得税基本通達36-12(譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期)(確認日 )
  10. 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(令和7年3月27日更新)(確認日 )

最終更新:2026年10月25日。制度の内容は2026年10月時点の法令と公表資料です。確認日は、出典ごとに2026年10月25日です。

  • 民法140条・143条・251条・915条・921条(e-Gov法令検索)
  • 宅地建物取引業法34条の2、国税通則法10条、租税特別措置法35条(e-Gov法令検索)
  • 国税庁 タックスアンサー No.2020・No.3267・No.3306・No.4205、所得税基本通達36-12
  • 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」

この記事は一般的な情報で、個別のケースの期限や税額の判断ではありません。期限・税額・適用の判断は、税理士・税務署・司法書士・家庭裁判所にご確認ください。