第4章 実行|売る

不動産査定の比較表(エクセル無料):複数社の査定額・根拠・条件を並べるテンプレート

不動産査定の比較表は、複数社の査定額と、価格の根拠・売却期間・契約・手数料・買取価格を同じ欄で並べます。高い額は売れる額の保証ではありません。

  • 複数の不動産会社から査定を取ったら、額だけでなく「根拠・方法・売却期間・契約の提案・手数料・買取価格」を同じ欄に並べて比べます。無料のエクセルの比較表を用意しました。
  • 査定額は、会社が売れる見込みを述べた意見です。最も高い額が最も高く売れる、とは限りません。額の差は、根拠で説明できるかを確かめます。
  • 仲介の査定額は手数料を引いた額にして、買取の価格と並べます。早さ・手間・責任の範囲も合わせて決めます。

  • 不動産査定の比較表(Excel)(1枚目が白紙の表、2枚目が記入例。A4横1枚で印刷できます)

公開 /更新 /執筆・編集:実家の手引き 編集部(運営者情報)

不動産査定の比較表とは何で、何を書きますか?

不動産査定の比較表とは、複数の不動産会社が出した査定を、同じ項目で横に並べて見比べるための表です。会社ごとに1列とし、最大5社まで書けます。

欄は、基本(会社名・担当者・連絡日)、査定(方法・査定額・売出しの提案価格・価格の根拠・書面の有無・想定の売却期間・値下げの目安)、契約と費用(媒介契約の提案・報告の頻度・仲介手数料・その他の費用)、買取(提示・価格・条件)、メモの5つのまとまりです。

最下部に、査定額・手数料を引いた額・買取価格・売却期間の最高・最低・平均を自動で出す欄があります。手数料の通常の上限も自動計算します。

比較表は、どう使いますか?

比較表は、査定を受けた日のうちに、各社の答えをそのまま書き込んで使います。後から書くと、根拠の有無があいまいになります。

  1. 物件・比較した日と、会社ごとの会社名・担当者・査定の方法を書く。
  2. 査定額と売出しの提案価格を書く。
  3. 価格の根拠を、聞いたとおりに書き、書面でもらったかを選ぶ。口頭のみ・なしの欄は橙色になります。
  4. 媒介契約の提案、手数料、買取の提示を書く。
  5. 最下部の集計と、「査定額から手数料を引いた額」を見る。

査定の依頼は、売却の依頼ではありません。媒介契約を結ぶまでは、どの会社にも頼んでいません。契約の種類の違いは、不動産会社の選び方と媒介契約3種類で扱っています。

査定額が高い会社に頼めば、高く売れますか?

査定額が高い会社に頼んでも、高く売れるとは限りません。査定額は、会社が「売れる見込みの価格」について述べる意見で、売れる額の保証ではないためです。

宅地建物取引業法34条の2第2項は、不動産会社が売買すべき価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定めています。意見を述べるだけでなく、根拠を示す義務があります。

価格には、3つの種類があります。

査定額が高い会社に頼めば、高く売れますか?
価格 決める人
査定額 不動産会社(意見)
売出しの価格 売主(会社の意見を聞いて決める)
成約価格 売主と買主(合意)。売れてからでないと分からない

不動産流通推進センターの手引きは、査定価格を、売り出し価格の参考として3か月程度で買い手が付くことを目安に算出するものと説明しています。売れるまでの期間の見込みも、会社によって違うことがあります。「想定の売却期間」の欄で、額の高さと期間を一緒に見ます。

価格の根拠は、どう確かめますか?

価格の根拠は、近隣の取引事例か、価格査定マニュアルのような方法で説明されているかを、会社に聞いて確かめます。国土交通省の「解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)は、意見の根拠を、価格査定マニュアルか、同種の取引事例など他に合理的な説明がつくものとしています。

根拠について、同じ資料は次の点も示しています。

価格の根拠は、どう確かめますか?
点 内容
示し方 口頭でも書面でもよい
書面にするとき 不動産の鑑定評価に関する法律にもとづく鑑定評価書でないことを明記する
納得の要否 納得までは要らないが、合理的でなければならない
費用 根拠を示すための価額の査定の費用は、依頼者に請求できない

最後の行から、媒介契約を前提にした価額の査定は、費用を請求されないのが原則です。不動産鑑定士の鑑定評価書は別で、費用は依頼先に確かめます。

根拠を聞くときの質問は、次のとおりです。

価格の根拠は、どう確かめますか?
聞くこと 見る点
比べた取引事例は何件か 件数、成約の時期、場所や広さの近さ
事例と違う点をどう直したか 築年数、道路、形、境界などの調整
建物をどう評価したか 築年数、リフォーム、維持管理の状態
相場を調べた資料は何か 公示価格、取引価格情報など。自分でも調べられる

不動産流通推進センターの価格査定マニュアルは、戸建住宅の土地を事例比較方式、建物を新築時の単価から経過年数や維持管理の状態を踏まえて求める方法で査定します。「相場から出した」だけの説明は、根拠とは言えません。

机上査定と訪問査定は、並べて比べてよいですか?

机上査定と訪問査定は、同じ前提ではないので、並べるときは方法の欄を見て読み分けます。机上査定は、現地を見ずに、所在地・築年数などの情報から出す査定です。訪問査定は、現地で建物の状態や周辺を確かめて出す査定です。

不動産流通推進センターの手引きは、基本情報だけの簡便な査定では詳細な条件を反映していないとし、訪問査定で詳細条件を確認するとしています。査定額の差が、方法の違いから出ている場合があります。

比べ方の目安は、机上査定どうし・訪問査定どうしで並べること、机上査定で高い額が出た会社には訪問査定を頼んで額が変わるかを見ること、方法が違う額は差の理由を聞いてから比べることです。

仲介手数料と買取の欄は、どう読みますか?

仲介の査定額は手数料を引いた額にし、買取の価格は手数料なしの額として、表の中で並べます。仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法46条にもとづく国土交通省の告示で決まっています。

仲介手数料と買取の欄は、どう読みますか?
売買価格の部分 率(税別)
200万円以下の部分 5%
200万円超400万円以下の部分 4%
400万円を超える部分 3%

税込は、合計に1.1を掛けます。800万円以下の低廉な空家等は、特例で上限が30万円(税別。税込33万円)まで認められます(国土交通省、2024年7月1日施行)。表の「通常の上限」の欄は、この計算で出します。価格別の額は仲介手数料の早見表にあります。

買取は、不動産会社が直接買い主になる取引で、仲介手数料は発生しません。ただし、買取の価格は、仲介の査定額より低くなることがあります。「買取価格と査定額−手数料の差」の欄で、金額の差を見ます。

買取には、条件も確かめます。

仲介手数料と買取の欄は、どう読みますか?
確かめること 理由
残置物はそのままでよいか 撤去の手間と費用が変わる
契約不適合責任はどうなるか 引渡し後の責任の範囲が変わる(免責特約)
支払いの時期 早く現金化できるかが変わる
「売れなければ買い取る」の約束の価格 解釈・運用の考え方は、一定期間内に売れないときに媒介価額を下回る価額で買い取る特約を、売主に安く売る義務を課さなければ差し支えないとしている

記入例(見本)では、どう読めますか?

記入例では、査定額が最も高い会社に根拠がなく、最も低い会社に根拠がありました。額の順位だけでは、会社を選べないことが分かります。数字と会社は、すべて架空の見本です。

見本(架空)。実在の会社・価格ではありません。 物件は、築45年の木造2階建て・土地150㎡とします。

記入例(見本の数字)
項目 A社 B社 C社
査定の方法 訪問 机上 訪問
査定額 12,800,000円 14,500,000円 11,900,000円
根拠の書面 あり(事例3件) 口頭のみ あり(事例2件)
想定の売却期間 4か月 3か月 6か月
契約の提案 専任 専属専任 一般
手数料(税込・上限) 488,400円 544,500円 458,700円
査定額−手数料 12,311,600円 13,955,500円 11,441,300円
買取価格 8,500,000円 なし 9,000,000円
買取−(査定額−手数料) −3,811,600円 — −2,441,300円

集計は、査定額の最高が14,500,000円、最低が11,900,000円、差が2,600,000円です。

読み方は次のとおりです。

  • B社の額は最も高いが、机上査定で、根拠が口頭のみです。額の差の理由を聞き、訪問査定を頼みます。
  • A社とC社は、根拠を書面で示しています。C社の額は低いものの、境界の課題を指摘しています。
  • 買取は、仲介の手取りの見込みより約240万〜380万円低くなっています。早さと手間の価値が、この差に見合うかで決めます。

手数料は上限で計算した見本です。実際の額は、媒介契約の前に合意します。

査定を頼む前に、何をそろえますか?

査定を頼む前に、物件の名義・面積・税額が分かる書類と、売却の希望をそろえます。書類があると、各社が同じ条件で査定でき、額を比べやすくなります。

査定を頼む前に、何をそろえますか?
そろえるもの 取り方
登記事項証明書 法務局
固定資産税の納税通知書(課税明細書) 毎年市区町村から届く。なければ評価証明書
建物の書類(確認済証・検査済証・設計図書) 家の中で探す
測量図・境界確認書 家の中で探す。なければ法務局で地積測量図
亡くなった方が買ったときの契約書 家の中で探す(売ったあとの申告で使う)

必要書類の一覧は、相続した家を売るときの必要書類一覧にあります。次の点も、先に決めておくと、会社に同じことを伝えられます。

  • 売りたい時期と、これ以上は下げられない価格の目安。
  • 残置物の扱い(撤去してから売るか、そのまま売るか)。
  • 名義と共有者の状況。相続登記が済んでいないと売買できません(売る前の相続登記)。

あなたのケースでは、比較のあと何をしますか?

比較表を書いたら、根拠の確かな会社を2〜3社に絞り、契約の種類と手数料を決め、手取りを計算します。額の最高だけを理由に選ぶのは避けます。

あなたのケースでは、比較のあと何をしますか?
あなたの状況 次の一歩
根拠が書面で示された会社がある その会社に、契約の種類・報告の頻度・値下げの考え方を確かめる
額に大きな差がある 差の理由を会社に聞き、訪問査定で額が変わるかを見る
売れない見込みが強い 売れないときの対処と、買取の欄を見直す
手取りを知りたい 売却手取り計算で、税金まで引いた額を出す
引渡しの準備を始めたい 売主の引渡し前チェックリストを使う

買取の価格も並べたい人には、買取の査定を問い合わせられる窓口があります。売るかどうか決まっていない人、共有者の同意が取れていない人、仲介で時間をかけて高く売る方針の人には向きません。

古い空き家で、仲介で買主を探すより早く手放したい人向けに、買取業者へ直接査定を問い合わせられる窓口もあります。買取の価格は仲介の査定額より低くなることがあるため、この表に並べ、手数料を引いた額と比べてから決めてください。

この記事で使える計算ツール

ご自分の数字で、記事の内容を計算できます。入力した数字は、どこにも送信しません。

よくある質問

不動産の査定額を複数社で比べる表は、エクセルで無料でもらえますか?

本ページの比較表(Excel)を無料で使えます。最大5社を1枚に並べられ、記入例のシートもあります。

査定額が一番高い会社に頼めば、一番高く売れますか?

売れるとは限りません。査定額は会社の意見で、売れる額の保証ではありません。価格の根拠と売却期間もあわせて比べます。

不動産会社に査定を頼むと、費用はかかりますか?

媒介契約を前提にした価額の査定の費用は、依頼者に請求できないと、国土交通省の解釈・運用の考え方に書かれています。

仲介の査定額と買取の価格は、そのまま比べてよいですか?

そのまま比べるのは適切ではありません。仲介は手数料を引いた額にし、買取は残置物・責任の範囲・支払いの時期の条件もあわせて比べます。

この記事の根拠

  1. 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)34条の2(媒介契約・価額の意見の根拠・報告)・46条(報酬)(確認日 )
  2. 宅地建物取引業法施行規則(e-Gov法令検索)15条の10(指定流通機構への登録期間)(確認日 )
  3. 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」令和8年4月1日施行版(第34条の2関係 6⑩・8)(確認日 )
  4. 公益財団法人 不動産流通推進センター「既存住宅価格査定マニュアル利用の手引き」(確認日 )
  5. 公益財団法人 不動産流通推進センター「価格査定マニュアルによる中古戸建住宅の査定」(確認日 )
  6. 国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」(低廉な空家等の特例、レインズ)(確認日 )

最終更新:2026年10月25日。制度の内容は2026年10月時点の法令と公表資料です。

  • 宅地建物取引業法34条の2・46条、同法施行規則15条の10(e-Gov法令検索)
  • 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」令和8年4月1日施行版、同「不動産取引に関するお知らせ」
  • 不動産流通推進センター「既存住宅価格査定マニュアル利用の手引き」「価格査定マニュアルによる中古戸建住宅の査定」
  • 上記はいずれも2026年10月25日確認

この記事は一般的な情報で、特定の会社の査定や、個別の取引についての助言ではありません。査定額・手数料・契約の内容は、会社の説明と契約書で確かめてください。税額は税務署・税理士に、権利関係は司法書士にご確認ください。