第4章 実行|売る
仲介手数料の早見表:売買価格別の上限と800万円以下の空き家の特例
仲介手数料の上限は、400万円超なら売買価格×3%+6万円(税別)です。800万円以下の空き家は、特例で上限が税込33万円になります。
- 仲介手数料の上限は、国土交通省の告示で決まっています。400万円を超える売買なら「売買価格×3%+6万円」(税別)で求められます。
- 売買価格が800万円以下の「低廉な空家等」は、上限が税込33万円に上がります。2024年(令和6年)7月1日からは、売主だけでなく買主も対象です。
- 上限は「これ以上は受け取れない額」です。実際の額は、媒介契約を結ぶ前に不動産会社と合意して決めます。あなたの手取りは手取り計算で確かめてください。
仲介手数料の上限は、どう計算しますか?
仲介手数料の上限は、売買価格を3つの部分に分け、それぞれに決まった率をかけて合計した額です。根拠は、宅地建物取引業法46条にもとづく国土交通大臣の告示(昭和45年建設省告示第1552号の第二)です。
| 売買価格の部分 | 率(税別) | 率(税込・消費税10%) |
|---|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5% | 5.5% |
| 200万円超400万円以下の部分 | 4% | 4.4% |
| 400万円を超える部分 | 3% | 3.3% |
売買価格が400万円を超えるときは、次の速算式で同じ額になります。
- 税別:売買価格×3%+6万円
- 税込:売買価格×3.3%+6.6万円
「+6万円」は、200万円以下の部分の差(5%−3%=2%×200万円=4万円)と、200万円超400万円以下の部分の差(4%−3%=1%×200万円=2万円)の合計です。計算のもとにする売買価格は、消費税を含まない額です(告示第二)。売買価格に建物の消費税が含まれている場合は、消費税を除いた額で計算します。
売買価格ごとの上限はいくらですか?(早見表)
売買価格100万円から5,000万円までの上限を、税別と税込で示します。右の列は、800万円以下の空き家の特例を使ったときの上限(税込)です。
| 売買価格 | 通常の上限(税別) | 通常の上限(税込) | 800万円以下の特例の上限(税込) | 特例で上がる上限の幅 |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 5.0万円 | 5.5万円 | 33万円 | +27.5万円 |
| 200万円 | 10.0万円 | 11.0万円 | 33万円 | +22.0万円 |
| 300万円 | 14.0万円 | 15.4万円 | 33万円 | +17.6万円 |
| 400万円 | 18.0万円 | 19.8万円 | 33万円 | +13.2万円 |
| 500万円 | 21.0万円 | 23.1万円 | 33万円 | +9.9万円 |
| 600万円 | 24.0万円 | 26.4万円 | 33万円 | +6.6万円 |
| 700万円 | 27.0万円 | 29.7万円 | 33万円 | +3.3万円 |
| 800万円 | 30.0万円 | 33.0万円 | 33万円 | ±0 |
| 900万円 | 33.0万円 | 36.3万円 | 対象外 | — |
| 1,000万円 | 36.0万円 | 39.6万円 | 対象外 | — |
| 1,200万円 | 42.0万円 | 46.2万円 | 対象外 | — |
| 1,500万円 | 51.0万円 | 56.1万円 | 対象外 | — |
| 2,000万円 | 66.0万円 | 72.6万円 | 対象外 | — |
| 2,500万円 | 81.0万円 | 89.1万円 | 対象外 | — |
| 3,000万円 | 96.0万円 | 105.6万円 | 対象外 | — |
| 4,000万円 | 126.0万円 | 138.6万円 | 対象外 | — |
| 5,000万円 | 156.0万円 | 171.6万円 | 対象外 | — |
この表は、不動産会社が消費税の課税事業者である場合の上限です。表の金額は当サイトが告示の計算式で求めたもので、端数は出ていません。
表のとおり、800万円の売買では通常の上限がちょうど税込33万円です。特例は、800万円より安い空き家で、上限を800万円の場合と同じ水準まで引き上げる制度です。手数料を安くする制度ではありません。
800万円以下の空き家の特例とは何ですか?
低廉な空家等の特例とは、売買価格が800万円以下の宅地・建物の売買の仲介で、不動産会社が通常の上限を超えて、税込33万円(30万円の1.1倍)まで報酬を受け取れる制度です(告示第七)。2024年(令和6年)7月1日に施行されました(令和6年国土交通省告示第949号)。
特例には、次の条件があります。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 対象の物件 | 売買価格(消費税を除く)が800万円以下の宅地・建物。空き家かどうかなど、使用の状態は問わない | 告示第七、国土交通省の通達の解説 |
| 上限 | 依頼者1人につき、30万円の1.1倍(税込33万円)まで | 告示第七 |
| 受け取れる条件 | その仲介に要する費用を勘案して決める | 告示第七 |
| 手続き | 媒介契約を結ぶときに、あらかじめ上限の範囲で報酬額を依頼者に説明し、合意する | 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(通達) |
「空家等」という名前ですが、国土交通省の通達の解説では、価格が800万円以下であれば使用の状態は問わないとされています。住んでいる家や土地だけの売買も、価格の条件を満たせば対象です。
特例は上限を引き上げるだけで、必ず33万円になるわけではありません。媒介契約の前に説明がなく、合意もしていない場合は、通常の上限で考えます。契約書に書かれた報酬額を、署名の前に確かめてください。
特例は、売主と買主の両方に使われますか?
800万円以下の特例は、2024年(令和6年)7月1日以後、売主と買主の両方の依頼者に使われます。改正前の告示には「空家等の売主又は交換を行う者である依頼者に限る」という限定がありましたが、改正後の第七からは削られました。
| 項目 | 改正前(2024年6月30日まで) | 改正後(2024年7月1日から) |
|---|---|---|
| 対象の価格 | 400万円以下 | 800万円以下 |
| 対象の依頼者 | 売主(交換を行う者)に限る | 限定なし(売主・買主とも) |
| 上限 | 18万円の1.1倍(税込19.8万円)。通常の上限と現地調査等の費用の合計の範囲 | 30万円の1.1倍(税込33万円)。媒介に要する費用を勘案 |
同じ不動産会社が売主と買主の両方から仲介を頼まれた場合、上限はそれぞれの依頼者について33万円です。
代理、免税事業者、広告料はどう扱いますか?
仲介手数料以外の場面にも、告示は上限を決めています。相続した家の売却で関わりやすいのは、次の3つです。
| 場面 | 上限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 仲介ではなく「代理」を頼む | 通常の計算の2倍以内。相手方からも受け取るときは、合計で2倍以内。800万円以下の特例の場合も、特例の額の2倍以内 | 告示第三・第八 |
| 不動産会社が消費税の免税事業者 | 上の計算に準じて出した額に110分の100をかけた額と、仕入れにかかった消費税等の相当額の合計以内 | 告示第十一② |
| 依頼した広告の料金 | 依頼者が頼んで行った広告の料金に相当する額は、報酬とは別に受け取れる | 告示第十一① |
広告の料金は、依頼者が頼んだ広告に限られます。依頼していない広告の費用を、報酬と別に請求することは認められていません(告示第十一①)。請求されたら、依頼した広告かどうかを確かめます。
仲介手数料はいつ払い、税金の計算ではどう扱いますか?
仲介手数料は成功報酬で、不動産会社の仲介で売買契約が成立したときに請求できます(国土交通省 標準媒介契約約款)。売買契約が成立しなければ、仲介手数料はかかりません。
支払いの時期や回数は、媒介契約で決めます。契約書の報酬の欄で、いつ・いくら払うかを確かめてください。
相続した家を売った翌年の確定申告では、仲介手数料は「譲渡費用」として、売った金額から差し引けます(国税庁 No.3202)。領収書と媒介契約書は、申告まで保管します。申告の手順は売った翌年の確定申告で扱っています。
不動産会社に買い取ってもらうと、仲介手数料はかかりますか?
不動産会社が自ら買主になる「買取」では、仲介手数料はかかりません。告示が決めているのは、仲介(媒介)と代理の報酬だからです。
買取を選ぶときは、手数料がかからない分と、仲介で売る場合との価格の差を、同じ物件で比べます。価格の差の目安と比べ方は、出典とあわせて空き家の買取と仲介、どちらが得かで整理しています。
あなたのケースでは、手取りはいくらになりますか?
仲介手数料の上限が分かったら、譲渡所得税なども引いた手取りで比べます。次の見本は、仮定の数字です。
モデルケース(見本の数字):相続した空き家を500万円で売り、取得費は分からない(概算取得費として売った金額の5%)、所有期間は5年超とします。
| 項目 | 通常の上限で払う場合 | 特例の上限で払う場合 |
|---|---|---|
| 売った金額 | 500万円 | 500万円 |
| 仲介手数料(税込) | 23.1万円 | 33.0万円 |
| 手数料の差 | — | +9.9万円 |
手数料が9.9万円増えると、譲渡費用も同じだけ増えるため、課税される利益は9.9万円減ります。長期譲渡所得の税率20.315%なら、税は約2.0万円減ります。手取りの減少は約7.9万円です。
ほかの費用や3,000万円控除の有無で、手取りは大きく変わります。あなたの数字は相続した家の売却手取り計算で確かめてください。売るときに用意する書類は相続した家を売るときの必要書類一覧にまとめています。
この記事で使える計算ツール
計算ツールは、本文の後に置く追加機能です。ツールが動かない環境でも、本文の説明と表の計算例だけで内容を読めます。
よくある質問
仲介手数料の計算式「3%+6万円」は、どの価格から使えますか?
売買価格が400万円を超えるときに使えます。400万円以下は、200万円以下の部分に5%、200万円超400万円以下の部分に4%をかけて合計します(いずれも税別)。
800万円以下の空き家は、必ず33万円を払いますか?
払う必要はありません。33万円は上限です。特例の額は、媒介契約を結ぶ前に不動産会社から説明を受け、合意したときだけ使われます。
買主にも800万円以下の特例は使われますか?
使われます。2024年7月1日の改正で、特例の対象から「売主に限る」という条件が外れました。依頼者1人につき、上限は税込33万円です。
仲介手数料は値引きできますか?
告示が決めているのは上限で、下限はありません。上限の範囲でいくらにするかは、媒介契約の前に不動産会社と合意して決めます。
この記事の根拠
- 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号、令和6年国土交通省告示第949号による最終改正。国土交通省掲載の本文)(確認日 )
- 同告示の令和6年改正の新旧対照表(国土交通省)(確認日 )
- 国土交通省「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」(令和6年6月)(確認日 )
- 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(通達)の改正の概要(令和6年7月1日施行)(確認日 )
- 国土交通省 宅地建物取引業法関係(報酬告示の掲載ページ)(確認日 )
- 宅地建物取引業法46条(e-Gov法令検索)(確認日 )
- 国土交通省 標準媒介契約約款(令和4年国土交通省告示第583号による最終改正)(確認日 )
- 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)(確認日 )
最終更新:2026年10月18日。制度の数字は2026年10月時点の公表情報です。
- 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号。令和6年国土交通省告示第949号による最終改正後の本文と新旧対照表。国土交通省、2026年10月18日確認)
- 国土交通省「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方の改正の概要」(令和6年。2026年10月18日確認)
- 宅地建物取引業法46条(e-Gov法令検索、2026年10月18日確認)
- 国土交通省 標準媒介契約約款(令和4年国土交通省告示第583号による最終改正。2026年10月17日確認)
- 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)(2026年10月17日確認)
早見表の金額とモデルケースは、当サイトが上の告示と国税庁の計算方法で求めたものです。この記事は一般的な情報で、特定の不動産会社を推奨するものではありません。個別の契約や税務は、契約書の確認と、宅地建物取引業者・税理士へのご相談で判断してください。