第4章 実行|売る
空き家バンクに登録する流れと必要書類(チェックリスト):相続した実家を載せる前に
空き家バンクは自治体ごとの制度で、登録の条件と書類は違います。多くは名義の整理と物件の確認を求めるため、相続した実家は先に相続登記を済ませます。
- 空き家バンクは、国の制度ではなく、市町村が自主的に開く仕組みです。登録の条件・書類・手数料は、物件がある自治体の公式ページで決まります。
- 石巻市・大津市・志摩市の公式ページを並べると、登録の順序も、媒介の業者が入る時期も違います。共通して確かめるのは、名義、共有者の同意、建物の状態、不動産会社への依頼の有無です。
- 相続登記が済んでいない実家は、登録できない自治体があります(石巻市)。登録の前に、相続登記と書類の取得を済ませます。
空き家バンクとは何で、国土交通省の「全国版」とは何が違いますか?
空き家バンクとは、空き家を売りたい・貸したい所有者の情報を自治体が集め、利用を希望する人に紹介する仕組みです。国土交通省の資料は、各自治体が空き家対策の一つとして自主的に設けているものと説明しています。設ける義務はありません。
全国版空き家・空き地バンクとは、自治体ごとの情報を横断して検索できるよう、国土交通省が公募で選んだ株式会社LIFULLとアットホーム株式会社の2社が運営するサイトです(2017年(平成29年)10月に試行、2018年(平成30年)4月に本格運用)。
| 項目 | 内容(国土交通省の資料) |
|---|---|
| 運営 | LIFULL(HOME'S)とアットホームの2社が独立して運営。国は構築費用の一部を補助し、運営は委託していない |
| 参加状況 | 1,153自治体が参加、748自治体が物件を掲載中(令和8年9月末時点) |
| 所有者が登録する方法 | 全国版に直接は登録できない。必ず物件がある自治体を介して登録する |
| 掲載の条件 | 所有者の同意が要る。自治体が認めた物件が対象で、自治体の判断で載らない場合もある |
| 取引への関与 | 2社は取引に介在せず、情報の発信だけを行う。交渉・契約のトラブルにも国と2社は関与しない |
| 費用 | 自治体側の参加料・利用料はかからない(自治体向けQ&A)。所有者の費用は自治体ごとに異なる |
出典:国土交通省の総合情報ページ、「全国版空き家・空き地バンク」について、同Q&A(自治体向け・消費者向け)。確認日は2026年10月25日です。
空き家バンクへの登録は、どんな順で進みますか?
登録は、自治体への申込み、現地確認、登録の決定、ホームページへの掲載、利用希望者との見学・交渉・契約の順に進むのが基本です。ただし、媒介の業者を決める時期と、市が関わる範囲は自治体で違います。
| 自治体 | 登録までの順序 | 契約の進め方 |
|---|---|---|
| 石巻市(宮城県) | 申請書類の提出→登録事業者(宅建業者)と市職員の現地調査→市が登録の可否を通知→登録後、現地を調査した登録事業者と媒介契約→全国版の空き家バンクサイトに掲載 | 空き家の詳細は、利用登録した希望者に案内される。媒介契約の内容と報酬はページに記載なし |
| 大津市(滋賀県) | 所有者が書類を提出→市の審査→ホームページに掲載 | 市と協定を結んだ宅地建物取引業の会員が仲介する。市は交渉・契約の媒介も代理もしない |
| 志摩市(三重県) | 申込み→市と所有者の現地確認→媒介業者の決定(協定の不動産協会が募集し、所有者が選んで媒介契約)→登録完了通知書→掲載 | 交渉・契約は媒介業者が入って当事者間で行う。応募する業者がいないと登録できない場合がある |
3市はいずれも、売買の仲介に宅地建物取引業者が入る点は同じです。順序は違うため、「申込みの前に不動産会社へ依頼してよいか」は、必ず自治体に確かめます。
物件が新潟県にある場合は、姉妹サイトの新潟 実家じまいナビ(運営:株式会社Kogera)が県内の情報をまとめています。
自治体で多い必要書類は何ですか?
自治体で多い書類は、登録申込書、所有者を確かめる書類、物件の登記事項証明書や図面です。3市のページに載っている書類を、同じ項目で並べると次のとおりです。
| 書類 | 石巻市 | 大津市 | 志摩市 |
|---|---|---|---|
| 登録申込書 | あり(様式第1号) | あり(様式第1号) | あり(様式第1号) |
| 物件の登録カード | あり(様式第2号) | あり(様式第2号) | あり(様式第2号) |
| 誓約書 | — | — | あり(様式第3号) |
| 所有者の身分証明書の写し | あり | あり | あり |
| 登記事項証明書(登記簿) | 登記簿(発行期限の記載なし) | 家屋・土地の全部事項証明書(発行から1か月以内) | — |
| 公図・図面 | — | 物件の図面等の写し | — |
| 固定資産税の納税証明書 | あり | — | — |
| 同意書 | 敷地と空き家の所有者が違う場合(様式第3号) | — | — |
「—」は、確認した公式ページに記載がないという意味で、不要という意味ではありません。書類の種類は自治体の要綱と様式で決まります。
大津市は、売買や賃貸が成立したときに、宅地建物取引業法に基づく国土交通大臣が定めた報酬の額の範囲内で仲介料がかかります。石巻市と志摩市のページには、登録の費用の記載がありません。登記事項証明書などの取得費用は、各自治体の案内で確かめます。
登録の前に、何を確かめますか?(チェックリスト)
登録の前に確かめるのは、名義、共有者の同意、建物の状態、不動産会社への依頼の有無、費用と期間です。相続した実家は、特に名義と共有の確認が先です。
| 確かめること | 理由と3市の例 | 資料・確認先 |
|---|---|---|
| 名義が亡くなった方のままではないか | 石巻市は、土地と建物の両方が登記済みの人が対象で、未登記または未相続の空き家は登録できない。相続登記は、取得を知った日から3年以内が義務(法務省)で、2024年(令和6年)4月1日より前の相続は2027年(令和9年)3月31日まで | 登記事項証明書。売る前の相続登記 |
| 共有名義ではないか | 石巻市は、敷地と空き家の所有者が違う場合に同意書(様式第3号)を求める。共有名義の扱いは、確認した3市のページに記載がない | 共有名義の実家を売る |
| 登記上の住所が現住所と違わないか | 確認した3市のページには記載がない。売却の登記の前に、住所の変更登記が要る場合がある | 売却の必要書類の住所変更登記の節 |
| 建物の種別と状態が条件に合うか | 石巻市は、居住目的で建築された個人所有の建物が対象で、無接道地の物件は登録できないとする。志摩市は老朽化が激しい物件、大規模な修繕が要る物件を登録できないとする | 登記事項証明書、現地の状態 |
| 不動産会社に依頼済みではないか | 志摩市は、すでに民間業者があっせんしている物件は登録できないとする。石巻市は、登録後に登録事業者と媒介契約を結ぶ。国土交通省のQ&Aは、媒介契約を登録の条件にする自治体もあるとする | 自治体の担当課 |
| 売るのか貸すのか | 大津市・志摩市は売却・賃貸のどちらも登録できる。大津市は、個人が居住する目的の建物が対象 | 自治体の要綱 |
| 費用 | 大津市は成立時の仲介料。石巻市・志摩市は費用の記載なし | 自治体の担当課 |
| 登録の期間 | 石巻市は最長2年間(登録年度の3月31日までを1年目とみなす)で、終了後は再度申請できる。志摩市は3年間で、更新は改めて申込み。大津市のページには記載なし | 自治体の担当課 |
| 全国版への掲載に同意するか | 所有者の同意がないと全国版には載らない | 申込書の同意欄 |
| 固定資産税の滞納がないか | 石巻市は、申請する空き家の固定資産税を滞納していると登録できないとし、納税証明書を求める | 市区町村の納税の窓口 |
登録の可否は、現地確認で決まります。石巻市は、物件の状況によっては登録を断る場合があるとしています。
空き家バンクと不動産会社への依頼は、どう選びますか?
空き家バンクは、市町村が情報を載せる仕組みで、売買の仲介は不動産会社が行う例が、3市の公式ページでは共通していました。不動産会社への依頼との違いと併用の考え方は、空き家の売却を任せる不動産会社の選び方にまとめています。
仲介手数料の上限は、仲介手数料の早見表で確かめられます。売却の手取りは、相続した家の売却手取り計算で試せます。
結論:登録の前に何を済ませ、買い手が見つからないときはどうしますか?
登録の前に、名義と共有者の同意を整えて、物件がある自治体の窓口で、書類と順序を確かめます。登録しても買い手が見つかるとは限らないため、期限のある手続きと並べて考えます。
- 相続登記を済ませる。共有者がいれば同意を取る。
- 物件がある自治体の窓口で、登録の条件・書類・費用・不動産会社との関係を確かめる。
- 書類(登記事項証明書・図面など)を、発行期限に注意して取り寄せる。
- 登録後も、期限(3,000万円控除など)は期限カレンダーで管理する。
買い手が見つからないときの順番は、売れないときの対処にあります。買取や仲介との違いは買取と仲介の比較で確かめられます。改修や解体の補助金は、自治体ごとに制度が違います。解体費用と補助金の自治体ごとの調べ方は、姉妹サイトのふれあいの丘(運営:株式会社Kogera)で扱っています。
空き家バンクに登録しても買い手が見つからない場合や、早く手放したい場合に、空き家・中古戸建ての買取査定を申し込める窓口もあります。買取の価格は仲介より低くなることがあるため、空き家バンクや仲介の条件と比べてから決めてください。売るかどうかが決まっていない人、家族の合意がこれからの人には向きません。
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よくある質問
空き家バンクに登録すると、費用はかかりますか?
自治体で違います。大津市は、売買や賃貸が成立したときに、国土交通大臣が定めた報酬の額の範囲内で仲介料がかかります。石巻市と志摩市のページには、費用の記載がありません。
相続登記をしていない実家は、空き家バンクに登録できますか?
石巻市は、土地と建物の両方が登記済みの人を対象とし、未登記または未相続の空き家は登録できないとしています。扱いは自治体で違うため、物件がある市町村の窓口に確かめます。
不動産会社に頼んでいる家も、空き家バンクに載せられますか?
志摩市は、すでに民間業者があっせんしている物件は登録できないとしています。石巻市は、登録後に現地を調査した登録事業者と媒介契約を結びます。国土交通省のQ&Aは、媒介契約を登録の条件にする自治体もあるとしており、順序は自治体で違います。
空き家バンクに登録すると、全国版の2サイトにも載りますか?
自治体が全国版に参加していて、所有者が同意した場合に載ります。所有者が全国版に直接登録することはできません(国土交通省のQ&A)。
この記事の根拠
- 国土交通省 空き家・空き地バンク総合情報ページ(全国版空き家・空き地バンクの運営事業者・参加状況)(確認日 )
- 国土交通省「『全国版空き家・空き地バンク』について」(令和8年9月末時点)(確認日 )
- 国土交通省 全国版空き家・空き地バンク Q&A(自治体向け)(確認日 )
- 国土交通省 全国版空き家・空き地バンク Q&A(消費者向け)(確認日 )
- 石巻市(宮城県)「空き家所有者の登録」(2026年4月1日更新)(確認日 )
- 大津市(滋賀県)「大津市空家バンクについて」(2025年11月10日更新)(確認日 )
- 志摩市(三重県)「志摩市空き家バンク制度」(2023年8月10日更新)(確認日 )
- 志摩市「志摩市空き家バンク制度登録申込の手順(空き家を売りたい、貸したい方)」(確認日 )
- 法務省 相続登記の申請義務化について(更新日 令和7年3月27日)(確認日 )
最終更新:2026年10月25日。自治体のページの更新日は、石巻市が2026年4月1日、大津市が2025年11月10日、志摩市が2023年8月10日です。
- 国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」「『全国版空き家・空き地バンク』について」(令和8年9月末時点)、全国版空き家・空き地バンク Q&A(自治体向け・消費者向け)(2026年10月25日確認)
- 石巻市「空き家所有者の登録」、大津市「大津市空家バンクについて」、志摩市「志摩市空き家バンク制度」「登録申込の手順」(2026年10月25日確認)
- 法務省「相続登記の申請義務化について」(令和7年3月27日更新、2026年10月25日確認)
この記事は一般的な情報です。登録の条件・書類・費用は自治体ごとに異なり、変わることがあります。登録は物件がある市町村の窓口で、個別の登記・契約・税務は司法書士・宅地建物取引業者・税理士に確かめてください。