第6章 持ち続ける|持ち続ける

空き家の管理チェックリスト(エクセル・印刷用 無料):月1回の見回りと、季節ごとの点検

空き家の管理は、月1回を目安に、通風・通水・雨漏り・郵便物・庭木・害虫・外壁・塀・防犯を見回ります。記録を残せる印刷用の無料エクセルを用意しました。

  • 見回りは、室内・屋外・防犯・記録の17項目を、月1回を目安に見ます。回数を定めた法令はなく、所有者は適切な管理に努める責務を負います(空家法5条)。
  • 管理が行き届かず、市町村から勧告を受けると、その敷地は住宅用地の特例の対象から外れ、固定資産税が上がります(地方税法349条の3の2)。他人に損害を与えたときの賠償責任は、所有者に及びます(民法717条)。
  • 自分で行けないときは、管理サービス、売却、解体、国庫帰属を比べます。

公開 /更新 /執筆・編集:実家の手引き 編集部(運営者情報)

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シートは4枚です。見回りの項目、季節の点検、12か月の記録、連絡先メモで、すべてA4で印刷できます。

更新日:2026年(令和8年)10月25日。制度の内容は、2026年10月25日に確認した公式資料の時点です。

このチェックリストは、何に使えますか?

空き家の管理チェックリストとは、見回りで見る項目と結果を、紙やエクセルに残す表です。毎回同じ項目を見ると、前回との違いに気づきやすくなります。

このチェックリストは、何に使えますか?
シート 内容 使い方
見回りの項目 室内6・屋外6・防犯と火の気2・連絡と記録3(雪を含む)の計17項目。頻度と、問題があったときの目安つき 印刷して現地に持っていき、○△×を付ける
季節の点検 春・梅雨前・夏・秋・冬・年1回の重点 季節の初めに読む
記録(12か月) 月ごとの実施日・実施者・10項目の状態・写真の有無・対応 見回りの後に入力する。開始年月を入れると月が並ぶ
連絡先メモ 隣家・自治会・水道・電力・ガス・保険・市区町村など14件 家族で共有する

エクセルの書式は、黄色の欄が入力です。「記録(12か月)」の集計は数式で、見回りの回数と、△・×の件数、写真の回数が自動で出ます。

見回りでは、何をどのくらいの頻度で見ますか?

見回りは、通風・通水・雨漏り・郵便物・庭木・害虫・外壁・塀・防犯を、月1回を目安に見ます。大雨・台風・地震のあとは、月1回を待たずに臨時で見ます。

見回りの主な項目と、異常のサイン
場所 項目 異常のサイン
室内 通風・換気 においやカビ、結露。窓と押入れの戸を開けて空気を入れ替える
室内 通水 水の出が悪い、排水が流れない、においがする
室内 雨漏り 天井・壁・サッシまわりのしみ、水滴の跡
室内 郵便物 ポストにチラシがあふれている
屋外 庭木・雑草 枝が道路や隣の敷地にはみ出している、倒れそうな木
屋外 害虫・害獣 ハチの巣、羽アリ、ふん、かじった跡
屋外 屋根・外壁 瓦や板金のずれ、雨どいの詰まり、外壁のひび・はがれ
屋外 塀・門・擁壁 傾き、ひび割れ、水のしみ出し
屋外 ごみ・水たまり 不法投棄、いつも水がたまっている場所
防犯 施錠・窓・雨戸 施錠の忘れ、窓の割れ、侵入の跡
連絡 近所への連絡先 連絡先の変更、近所から聞いた苦情
記録 写真 外観の四方向と気になる場所を、同じ向きで撮る

異常が見つかったときの対応の目安は、エクセルの「問題があったとき」の欄にあります。屋根に上がる、高い所の枝を切るなど、危険な作業は業者に頼みます。

月1回という頻度は、法令で決まっていますか?

月1回は、法令で決まった回数ではありません。空家法5条は、所有者に「周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努める」ことを求めるだけです。

目安になる数字は2つあります。1つは、日本郵便「郵便局の空き家みまもり」が毎月1回の訪問であることです(月4,280円(税込)、2026年10月25日確認)。もう1つは、国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」で、管理者がいる空き家のうち、月1回以上管理している世帯が約7割だったことです(2026年10月17日確認)。

項目は、何をもとにしていますか?

項目は、国土交通省のガイドラインが挙げる、管理不全空家等の状態の例を参考に、実家の手引きがまとめました。法令が定める点検項目ではありません。エクセルの「参考」欄に、対応するガイドラインの例を書いています。

項目は、何をもとにしていますか?
ガイドラインが挙げる管理不全空家等の状態の例(要約) エクセルの項目
屋根ふき材・外装材・雨樋等の破損、外装材の剥落 屋根・雨どい、外壁
雨水浸入の痕跡、構造部材の蟻害 雨漏り、ハチの巣・シロアリ
擁壁のひび割れ、水のしみ出し、水抜き穴の排水不良 塀・門・擁壁
常態的な水たまり、多量の腐敗したごみ等 ごみ・水たまり
立木の枝のはみ出し 庭木・雑草
駆除等がなされていない常態的な動物の棲みつき 動物・害虫の跡
開口部等の破損(不法侵入の形跡は特定空家等の例) 施錠・窓・雨戸
通常の雪下ろしがなされていない状態 雪(積雪地のみ)

季節ごとに、何を重点に見ますか?

季節ごとの重点は、春は冬の傷み、梅雨前は雨どいと雨漏り、夏は雑草とハチ、秋は台風のあと、冬は凍結と防犯です。時期は目安で、地域の気候に合わせて前後させます。

季節ごとに、何を重点に見ますか?
季節 重点
春(3〜5月) 冬の間の雪・凍結・風による傷み。雑草と庭木が伸びる前の手入れ
梅雨前(5〜6月) 雨どいの詰まり、屋根・外壁のひび、雨漏りのしみ。湿気対策の換気
夏(7〜9月) 雑草と庭木、ハチの巣・害虫。台風の前に飛びそうな物を片付ける
秋(10〜11月) 台風のあとの屋根・外壁・塀。落ち葉で詰まった雨どいの掃除
冬(12〜2月) 水道の凍結への備え、積雪地は雪下ろしと雪止め。年末年始の防犯と火の気
年1回 固定資産税の納税通知書の保管、火災保険の更新、近所への連絡先の更新

凍結への備えは、水道事業者の案内に従います。火災保険は空き家の火災保険に、保有コストは保有コストの試算にあります。

記録は、どうつけますか?

記録は、見回りの後すぐに、実施日・実施者・各項目の○△×・写真の有無・対応を12か月のシートに入力します。写真の保存先は、対応の欄にメモします。

  1. 「開始の年月」に、記録を始める月の1日を入れます(例:2026/11/1)。12か月分の月が並びます。
  2. 現地で、項目ごとに ○(異常なし)・△(気になる)・×(要対応)・-(該当なし)を付けます。
  3. 外観の写真を撮り、「写真」の欄に「有」を入れます。
  4. △と×は、「気づいたこと・対応」と「対応の期限」に書きます。
  5. 年に1回、集計で「見回りをしていない月」を確かめます。

記録は、市町村から問い合わせがあったときや、売却・相談のときに、いつ何を確認したかを説明しやすくします。勧告の判断は、記録の有無ではなく、建物と敷地の状態で行われます(空家法13条・22条)。

管理サービスを使う場合も、確認項目を比べます。日本郵便の空き家みまもりの確認項目は、外観、庭木・雑草、郵便受け、不法投棄、玄関の施錠、玄関周辺、隣家への越境物の7つです。室内の換気や通水は項目に入っていません。室内は自分で見るか、別の契約を探します。

管理が行き届かないと、固定資産税や責任はどうなりますか?

管理が行き届かないまま放置すると、市町村の指導・勧告・命令を受けることがあります。勧告を受けると固定資産税の特例が外れ、命令に違反すると過料です。

管理不全空家等・特定空家等の手順と影響
段階 内容 根拠
管理不全空家等 放置すれば特定空家等になるおそれのある空家等。市町村長が指導し、改善されなければ勧告できる 空家法13条
特定空家等 倒壊等のおそれ、衛生上有害などの状態。助言・指導、勧告、命令の順 空家法2条2項・22条
勧告を受けた敷地 住宅用地の特例の対象から外れる(固定資産税の課税標準が価格の6分の1などでなくなる) 地方税法349条の3の2第1項
命令に違反 50万円以下の過料 空家法30条1項

税額は、見本の土地で10年の差を計算しています(空き家を持ち続けるコストとリスク)。更地にした場合の計算は更地にすると固定資産税はいくら上がる?にあります。

賠償の責任は、民法717条です。土地の工作物の設置または保存に瑕疵があって他人に損害を生じたとき、まず占有者が賠償します。占有者が損害の発生を防ぐのに必要な注意をしたときは、所有者が賠償しなければなりません。竹木の栽植・支持に瑕疵があるときも同じです(同条2項)。外壁や塀の落下・倒壊、枝の落下が当てはまる例です。

自分で行けないときは、どんな選択肢がありますか?

自分で行けないときの選択肢は、管理サービス、家族や近所への依頼、売る、解体する、国庫帰属、貸す、持ち続ける、です。使う予定と費用で選びます。

自分で行けないときは、どんな選択肢がありますか?
選択肢 向く状況 参照
管理サービス 月1回の外観の確認を任せたい。室内は別に見る 上の確認項目で比べる
家族・近所に依頼 近くに頼める人がいる。費用の分担を決められる 家族会議シート
売る 買い手が見込める。期限に余裕がある 売る
解体する 倒壊のおそれがある。国庫帰属の前提 解体
国庫帰属 売れない土地で、要件を満たす。建物がある土地は申請できない 国庫帰属
貸す 傷みが軽く、借り手が見込める 貸す収支シミュレーション・活用
持ち続ける 使う予定がある、決めるまで時間が要る 持ち続けるコスト

売る期限や相続登記の期限は、持ち続けている間も進みます。期限カレンダーと最初にやることで日付を確かめてください。物件が新潟県にある場合は、姉妹サイトの新潟 実家じまいナビ(運営:株式会社Kogera)が県内の情報をまとめています。

この記事で使える計算ツール

ご自分の数字で、記事の内容を計算できます。入力した数字は、どこにも送信しません。

よくある質問

空き家の管理は、月に何回行けばよいですか?

法令に回数の定めはありません。月1回を目安にする例が多く、日本郵便の空き家みまもりも毎月1回の訪問です。大雨・台風・地震のあとは臨時で見ます。

空き家を管理しないと、固定資産税は上がりますか?

管理不全空家等・特定空家等として市町村の勧告を受けると、その敷地は住宅用地の特例の対象から外れ、税額が上がります(地方税法349条の3の2)。見回りだけで税額が決まるわけではありません。

空き家の庭木が隣の敷地にはみ出したら、誰の責任ですか?

所有者の責任が問われることがあります。竹木の栽植・支持に瑕疵があって他人に損害を生じたとき、占有者、占有者が必要な注意をしたときは所有者が賠償します(民法717条2項)。

エクセルは、印刷して使えますか?

使えます。全シートがA4で、「見回りの項目」「記録(12か月)」「季節の点検」は横向きです。入力して使う場合は、黄色の欄に入力します。

この記事の根拠

  1. 国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」第2章 別紙(管理不全空家等・特定空家等の状態の例)(確認日 )
  2. 空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)2条・5条・13条・22条・30条(e-Gov法令検索)(確認日 )
  3. 地方税法349条の3の2(住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例)(e-Gov法令検索)(確認日 )
  4. 民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)(e-Gov法令検索)(確認日 )
  5. 日本郵便「郵便局の空き家みまもり」(月4,280円(税込)、毎月1回訪問、確認項目7つ)(確認日 )
  6. 国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月)(管理の頻度、管理の課題)(確認日 )

最終更新:2026年10月25日。制度の内容は2026年10月時点の法令と公表資料です。

  • 空家等対策の推進に関する特別措置法、地方税法、民法(e-Gov法令検索)、国土交通省のガイドライン、日本郵便「郵便局の空き家みまもり」(2026年10月25日確認)
  • 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」(令和7年8月、2026年10月17日確認)

この記事は一般的な情報です。個別の事案は、弁護士・市区町村の窓口に、税額は税理士・税務署にご確認ください。