第6章 持ち続ける|持ち続ける

更地にすると固定資産税はいくら上がる?計算と負担調整

更地にすると住宅用地の特例が外れ、見本の土地の税は年50,000円から約15万〜18万円になります。課税標準は価格の70%が上限で、単純な6倍にはなりません。

  • 家を解体して更地にすると、住宅用地の特例が外れます。見本の土地(150㎡、評価額1,500万円)では、土地の税が年50,000円から153,000〜178,500円になります。
  • 「6倍」は、特例の6分の1が価格の100%に戻る単純な比較です。更地の課税標準は価格の70%が上限なので、土地の固定資産税は最大でも約4.2倍、都市計画税は約2.1倍です。
  • 特例の有無は、毎年1月1日の現況で決まります。解体の完了が12月か1月かで、税が変わる年度が1年ずれます。

公開 /更新 /執筆・編集:実家の手引き 編集部(運営者情報)

更新日:2026年(令和8年)10月17日。この記事は、空き家を解体して更地にする場合の、土地の固定資産税と都市計画税を扱います。解体費用はふれあいの丘(運営:株式会社Kogera)が扱っています。

更地にすると、固定資産税は見本でいくら上がりますか。

見本の土地では、土地の固定資産税と都市計画税の合計が、年50,000円から153,000円〜178,500円になります。差額は年103,000円〜128,500円です。

モデルケース(見本の数字)。実在の物件ではありません。 土地150㎡の全体が住宅用地、固定資産税評価額(価格)1,500万円、固定資産税率1.4%、都市計画税率0.3%としました。更地の課税標準額は、価格の60%の場合と70%の場合を並べます。この2通りの理由は、「6倍」にならない理由の節で説明します。

モデルケース:見本の数字|更地にすると、固定資産税は見本でいくら上がりますか。
項目 家が建っている(特例あり) 更地(課税標準が価格の60%) 更地(課税標準が価格の70%)
土地の固定資産税 35,000円(1,500万円×1/6×1.4%) 126,000円(1,500万円×60%×1.4%) 147,000円(1,500万円×70%×1.4%)
土地の都市計画税 15,000円(1,500万円×1/3×0.3%) 27,000円(1,500万円×60%×0.3%) 31,500円(1,500万円×70%×0.3%)
合計 50,000円 153,000円 178,500円
特例ありとの比 — 約3.1倍 約3.6倍
年の差額 — +103,000円 +128,500円

家屋の税は、この表に含めていません。家屋を含めた比較は、後の節で示します。

なぜ、更地にすると固定資産税が上がりますか。

住宅が建つ土地は、住宅用地の特例で課税標準が小さくなります。建物をなくすと住宅用地でなくなり、特例が外れるためです(地方税法349条の3の2)。

住宅用地とは、専ら人の居住の用に供する家屋、またはその一部を居住の用に供する家屋の敷地で、政令で定めるものです。店舗や事務所など、住宅以外の建物の敷地は、住宅用地ではありません。

なぜ、更地にすると固定資産税が上がりますか。
区分 固定資産税の課税標準 都市計画税の課税標準 根拠
小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 価格の6分の1 価格の3分の1 地方税法349条の3の2第2項、702条の3第2項
一般住宅用地(200㎡を超える部分) 価格の3分の1 価格の3分の2 同第1項、702条の3第1項
住宅用地以外(更地など) 負担調整後の額(価格の最大70%) 同左 附則18条、横浜市の案内

税率は、固定資産税が標準税率1.4%(同350条)、都市計画税が上限0.3%(同702条の4)です。都市計画税は、原則として市街化区域内の土地にかかります(同702条)。農地・山林は仕組みが異なる場合があるため、課税明細書で確認してください。

「6倍」にならないのは、なぜですか。

更地の課税標準が、価格の70%を上限としているためです(地方税法附則18条5項)。小規模住宅用地の6分の1(約16.7%)から70%への上昇は、約4.2倍で、6倍にはなりません。

負担調整措置とは、土地の税が急に増えないよう、前年度の課税標準額との差を調整する仕組みです。住宅用地以外の宅地等(商業地等)には、次の表が適用されます。固定資産税と都市計画税の両方が対象です(附則18条、横浜市の令和8年度の案内)。負担水準は、前年度の課税標準額を今年度の価格で割った割合です。

「6倍」にならないのは、なぜですか。
負担水準 今年度の課税標準額
70%超 価格の70%
60%以上70%以下 前年度と同額(据え置き)
60%未満 前年度の額+価格の5%(上限は価格の60%、下限は価格の20%)

特例との倍率の上限は、次の計算で出せます。

「6倍」にならないのは、なぜですか。
区分 特例の課税標準 更地の上限 倍率の上限
固定資産税(小規模住宅用地) 価格の1/6(約16.7%) 価格の70% 約4.2倍
固定資産税(一般住宅用地) 価格の1/3(約33.3%) 価格の70% 約2.1倍
都市計画税(小規模住宅用地) 価格の1/3 価格の70% 約2.1倍

「6倍」は、6分の1が価格の100%に戻る場合の単純な比較です。実際の更地は、価格の70%が上限です。

更地になる最初の年は、前年度の額をどう扱いますか。

住宅用地から更地になる年は、前年度課税標準額を、市町村内の更地等の平均的な水準でみなします(地方税法附則18条の3第1項)。

条文では、前年度の価格に、次の割合を掛けた額を、前年度課税標準額とします。割合は、市町村内で前年度に住宅用地以外の宅地等だった土地の、課税標準額の総額を、価格の総額で割った数値です。

つまり、更地になった年の負担水準は、その市町村の平均的な水準から始まります。60%以上70%以下なら据え置かれ、70%を超えれば価格の70%です。60%未満なら、そこから価格の5%ずつ上がります。この規定を読むと、価格の6分の1から5%ずつ上がる形にはなりません。

堺市の案内にも、前年中に用途変更があった土地は、実際の前年度課税標準額と異なる場合がある、との注記があります。神戸市の空き家の案内は、特例が外れた後の課税標準を価格の70%として例示しています。

市町村内の平均の数値は、公表されているか確認できませんでした。そのため、見本は60%と70%の2通りにしました。市町村は条例で、価格の60%以上70%未満の範囲で上限を定めることもできます(附則21条)。実際の額は、担当課の見込み額で確認してください。

これらは、令和6年度から令和8年度までの規定です。令和9年度(評価替えの年)以降の扱いは、2026年10月17日の時点で確認できていません。

解体の時期で、税が変わるのはいつからですか。

固定資産税の賦課期日は、毎年1月1日です(地方税法359条)。1月1日に建物が残っていれば、その年度は特例が続きます。1月1日に更地なら、その年度から特例が外れます。

解体の時期で、税が変わるのはいつからですか。
解体の完了日(例) 最初に更地として判定される1月1日 土地の特例が外れ、家屋の税がなくなる年度
2027年(令和9年)12月20日 2028年1月1日 2028年度分(令和10年度分)から
2028年(令和10年)1月10日 2029年1月1日(2028年1月1日は建物が残っているため) 2029年度分(令和11年度分)から。2028年度分は従来どおり

売買でも、市町村に対する固定資産税の納税義務者は、1月1日現在の登記簿上の所有者です(地方税法343条)。売買契約で税の精算を取り決めても、この点は変わりません。

解体が済んだら、建物の滅失の登記も必要です。表題部所有者または所有権の登記名義人は、滅失の日から1か月以内に申請します(不動産登記法57条)。

京都市には、建替え中の特例を、要件を満たして申告すれば続ける制度があります。要件には、土地の所有者が同じことなどがあります。売却のための解体で使えるかは、市町村に確認してください。

自分の土地の増加額は、課税明細書からどう計算しますか。

課税明細書の「価格」に、60%〜70%と税率を掛けます。更地の年税額は、価格×60〜70%×(1.4%+都市計画税率)で、おおよその額を出せます。

手順は次のとおりです。

  1. 毎年届く納税通知書の課税明細書で、土地の価格(評価額)と、現在の税額を確認する。
  2. 敷地が複数の筆(土地の区切り)にまたがる場合は、価格を合計する。
  3. 価格に60%と70%を掛け、更地の課税標準額の幅を出す。
  4. 課税標準額に、固定資産税率(標準1.4%)と都市計画税率(上限0.3%)を掛ける。
  5. 現在の税額との差を出す。

土地の固定資産税には免税点があります。同じ市町村内で同じ人が持つ土地の課税標準額の合計が30万円未満なら、課税されません(地方税法351条)。

敷地が200㎡を超える場合は、どうなりますか。

敷地が200㎡を超える場合は、超える部分が3分の1のため、特例ありの税額が大きくなり、更地にしたときの倍率は小さくなります。

モデルケース(見本の数字)。実在の物件ではありません。 土地250㎡の全体が住宅用地、価格1,500万円、税率は前の表と同じです。特例ありの課税標準は、固定資産税が合計300万円、都市計画税が合計600万円です。

モデルケース:見本の数字|敷地が200㎡を超える場合は、どうなりますか。
項目 家が建っている(特例あり) 更地(価格の60%) 更地(価格の70%)
土地の固定資産税 42,000円(300万円×1.4%) 126,000円 147,000円
土地の都市計画税 18,000円(600万円×0.3%) 27,000円 31,500円
合計 60,000円 153,000円 178,500円
特例ありとの比 — 約2.6倍 約3.0倍

家屋の税がなくなる分を含めると、どう比べますか。

解体すると家屋の税はなくなりますが、土地の税が上がる分のほうが大きくなります。見本では、更地は家を残す場合より、年69,000円〜94,500円多くなります。

モデルケース(見本の数字)。実在の物件ではありません。 土地150㎡、価格1,500万円、家屋の評価額200万円とします。家屋の税は、固定資産税28,000円と都市計画税6,000円で、合計34,000円です。解体費は含めていません。

モデルケース:見本の数字|家屋の税がなくなる分を含めると、どう比べますか。
状況 土地の税 家屋の税 年の合計
家を残す(特例あり) 50,000円 34,000円 84,000円
更地にする(価格の60%) 153,000円 0円 153,000円
更地にする(価格の70%) 178,500円 0円 178,500円
勧告で特例が外れ、家が残る(60%) 153,000円 34,000円 187,000円

10年間では、更地は家を残す場合より690,000円〜945,000円多くなります(評価額と税率が変わらない場合)。自分の数字は、保有コストの試算で、年と10年の合計を確認できます。

勧告で特例が外れる場合と、更地にする場合は何が違いますか。

土地の特例が外れる点は同じです。違いは、家屋の税が残るか、解体費がかかるか、特例が外れる原因です。

勧告で特例が外れる場合と、更地にする場合は何が違いますか。
項目 更地にする 勧告を受け、家が残る
きっかけ 自分で解体する 管理不全空家等・特定空家等として勧告を受ける(空家法13条2項、22条2項)
特例が外れる根拠 住宅用地の定義から外れる 同条1項の括弧書で、勧告を受けた敷地が除かれる(地方税法349条の3の2)
家屋の税 なくなる 続く

勧告から過料までの流れは持ち続けるコストとリスクに、保険は空き家の火災保険にあります。

更地にする前に、何を確認して決めればよいですか。

解体する前に、課税明細書の価格で増える税額を出し、売る・国に引き渡す・持ち続けるの費用と比べます。税が増えることだけで、解体の是非は決まりません。

更地にする前に、何を確認して決めればよいですか。
確認すること 内容
増える税額 課税明細書の価格から、60%と70%で試算する(前の節)
解体費用 木造の費用の目安と補助金は、姉妹サイトふれあいの丘の自治体データベースで探せます
売るとき 解体してから売るか、古家付きで売るか。解体と売る流れで比べる。3,000万円控除の要件は税金で確認する
国庫帰属 建物がある土地は申請できない。国庫帰属で費用を比べる

自分のケースで費用を並べるには、診断を使ってください。期限は最初にやることで確認できます。

この記事で使える計算ツール

計算ツールは、本文の後に置く追加機能です。ツールが動かない環境でも、本文の説明と表の計算例だけで内容を読めます。

よくある質問

更地にすると固定資産税は何倍になりますか。

見本の土地(150㎡、評価額1,500万円)では、固定資産税と都市計画税の合計が約3.1〜3.6倍です。固定資産税だけなら、価格の70%が上限のため、最大で約4.2倍です。

空き家を解体すると、固定資産税が6倍になるのは本当ですか。

単純な6倍にはなりません。住宅用地以外の課税標準は、価格の70%が上限だからです(地方税法附則18条)。6分の1から70%への上昇は約4.2倍です。

年末に解体するのと、年明けに解体するのでは何が違いますか。

特例の有無は1月1日の現況で決まります。12月に解体を終えると、翌年度分から土地の税が上がり、家屋の税がなくなります。1月に終えると、その年度は従来どおりで、変わるのは1年後の年度分からです。

更地にしたあと、固定資産税は毎年上がり続けますか。

負担水準が60%以上70%以下なら据え置かれ、70%を超えると価格の70%に下がります。60%未満の場合だけ、価格の5%ずつ上がります。令和9年度以降の扱いは確認が必要です。

更地を売ったあと、固定資産税は誰が払いますか。

納税義務者は、1月1日現在の登記簿上の所有者です(地方税法343条、359条)。1月1日より前に所有権の移転登記が済んでいれば、その年度分は買主が納税義務者です。税の精算は売買契約で確認してください。

この記事の根拠

  1. 地方税法 343条ほか・附則18条〜21条(e-Gov法令検索)(確認日 )
  2. 横浜市「土地の負担調整措置(令和8年度)」(確認日 )
  3. 神戸市「空き家の敷地にかかる固定資産税」(確認日 )
  4. 堺市「宅地の負担調整措置」(確認日 )
  5. 京都市「住宅建替え中の土地に係る固定資産税・都市計画税」(確認日 )
  6. 不動産登記法 57条(e-Gov法令検索)(確認日 )

最終更新:2026年10月17日。確認日は出典ごとに2026年10月17日です。条文の数字は、令和6年度から令和8年度までの規定にもとづきます。

この記事は、公表資料と法令にもとづく一般的な情報です。実際の税額は、課税明細書と市町村の固定資産税担当課で確認してください。個別の税務判断は、税理士・市町村の担当課にご確認ください。