第3章 判断|国庫帰属
相続土地国庫帰属の承認申請書の書き方:記載例の読み方と添付書類
承認申請書は、法務省の様式と記載例に沿って、申請者・土地・添付書類・手数料14,000円・土地の状況を書きます。添付書類の不足は却下の最多の理由です。
- 承認申請書は、法務省が単独用と共同用の様式と記載例を公表しています。記載例の更新は令和6年(2024年)4月22日の表示です。必ず法務省のページから最新の様式を取ります。
- 欄は、申請者、土地の表示、登記名義人、添付書類、審査手数料14,000円、土地の状況(別紙)、承諾事項の順です。添付書類は、図面・境界点の写真・形状の写真・印鑑証明書が全員に要ります。
- 却下の理由で最も多いのは、添付書類の提出がないことです(37件、令和8年9月30日時点)。書類は、提出前に表で確かめます。
承認申請書の様式は、どこにあり、どれを使いますか?
承認申請書の様式は、法務省の「相続土地国庫帰属制度の承認申請」のページにあります。申請者が1人の場合は単独用、共有者と連名の場合は共同用を使います。Word版とPDF版、記載例のPDFが用意されています。
様式の本文と記載例は、法務省のものを使います。この記事は様式を転載せず、欄の意味と注意点だけを説明します。
| 資料 | 内容 | 確認した表示(2026年10月25日) |
|---|---|---|
| 承認申請書の様式 | 単独用・共同用(Word・PDF) | 令和6年4月22日更新 |
| 承認申請書の記載例 | 単独用・共同用(PDF、全5ページ) | 令和6年4月22日更新 |
| 添付書類(1)〜(3)の記載例 | 図面・写真の見本(PDF) | 日付の表示なし |
| 申請の手引き「ご案内(第2版)」 | 制度の案内と申請書類の作り方 | 令和6年4月22日改訂、令和7年10月16日補訂(概要ページのお知らせ欄) |
承認申請書の様式は、令和5年(2023年)4月24日と令和6年4月22日に一部が変更されています(法務省概要ページのお知らせ欄)。2023年の解説記事や古い様式は、現在の様式と欄が違うことがあります。
承認申請書には、どの欄に何を書きますか?
承認申請書には、宛名、申請者、土地の表示、登記名義人、添付書類、手数料、土地の状況、承諾事項を、この順に書きます。法務省の記載例(単独申請)の順に、欄と書く内容を整理すると次のとおりです。
| 欄 | 書く内容 | 記載例の注意点 |
|---|---|---|
| 宛名・年月日 | 土地を管轄する法務局または地方法務局の名称。申請の年月日 | 記載例の日付・氏名・住所は見本。複数ページのときはページ数を余白に書く |
| 1 承認申請者 | 氏名と住所 | 署名押印の欄(後述)にも住所・氏名を書く |
| 2 承認申請に係る土地 | 登記記録上の所在、地番、地目、地積 | 同じ所有者が複数の土地を同時に申請するときは、ここにすべて書いて1通にまとめられる |
| 3 土地の所有権登記名義人(または表題部所有者) | 登記記録のとおりの氏名と住所 | 1の申請者と同じなら「1に同じ。」と書ける |
| 4 添付書類 | 必須書面・任意書面のチェック欄 | そろっているか確認してチェックを入れる |
| 5 審査手数料 | 14,000円 | 複数の土地を1通で申請するときは「14,000円×筆数」 |
| 6 土地の状況 | 「別紙のとおり」 | 別紙の確認欄に進む |
| 7 その他 | 3つの承諾事項のチェック欄 | 次の表で説明 |
| 署名押印・連絡先 | 申請者の住所・氏名・連絡先(メールは任意)。実印を押す | 資格者が代行する場合の作成者欄、家族・親族の連絡先を併記する欄がある |
| 収入印紙貼付台紙 | 審査手数料分の収入印紙 | 割印をしないで貼る |
文字を訂正するときは、その旨と字数を欄外に書くか、訂正した部分に括弧などを付けます(施行規則8条)。記載例では、訂正した箇所への押印は不要とされています。
「7 その他」の3つの承諾事項は、何ですか?
「7 その他」は、審査と帰属後の手続きに必要な承諾を確かめる欄で、記載例では3つとも「はい」にチェックが入っています。
| 項目 | 内容 | 記載例の注意点 |
|---|---|---|
| (1) | 法務局が、審査のため、土地の固定資産課税台帳の情報(所在・地番、現況地目、現況地積)を地方公共団体から取得することの承諾 | 記載例では「はい」にチェックが入っている |
| (2) | 帰属後、国の機関が、申請者から国への所有権移転の登記を嘱託することの承諾 | チェックすれば、承諾書を別に出さなくてよい。承諾がない場合は申請を受け付けられない |
| (3) | 土地の有効活用のため、関係機関に申請の情報を提供することの承諾 | 記載例は、協力のお願いとして示している |
(2)は、施行規則3条7号の承諾書面にあたります。チェックを入れると、別の承諾書は要りません(記載例の注記)。
別紙「承認申請に係る土地の状況」には、何を確かめて書きますか?
別紙は、却下と不承認の要件に土地が当たらないことを、申請者が確かめてチェックする欄です。建物の存する土地でないこと、境界が明らかであること、崖や地上・地下の物がないことなどを順に確かめ、最後に申請者の氏名を書きます。
- チェック項目は、国庫帰属法2条3項(却下)と5条1項(不承認)の要件ごとに並びます。森林や別荘地だけに関係する項目も含まれます。
- 申請者が特別な調査をする必要はありません。申請時の認識に基づいてチェックします。最終的な判断は法務大臣(土地の所在地の法務局の長)が行います。
- チェックのない項目があると、法務局が理由を問い合わせることがあります。実地調査の結果で、却下または不承認になることもあります。
却下・不承認になる要件の一覧と、事前の自己点検は、相続土地国庫帰属制度の要件と国庫帰属の要件チェックにあります。土地の上の残置物や荷物の片付けは、姉妹サイトのふれあいの丘(運営:株式会社Kogera)で扱っています。
添付書類は、何が必要ですか?(施行規則3条)
添付書類は、施行規則3条が定める書類で、全員に要るものと、場合によって要るものがあります。申請書の項目4のチェック欄(1)〜(7)と、施行規則の号数を対応させると次のとおりです。
| 申請書の項目4 | 要る場合 | 書類と作り方 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| (1)位置と範囲を明らかにする図面 | 全員 | 国土地理院地図、住宅地図、登記所備付地図などに、土地の所在・地番と、申請者が認識する所有権の範囲を示す。縮尺は1/2500以上が望ましい。場所が分かる程度の範囲で作る | 規則3条4号 |
| (2)隣接地との境界点を明らかにする写真 | 全員 | 図面に撮影場所の番号と撮影の向き(矢印)を書き、境界点の周辺を写す。境界標の種類(木杭・金属鋲など)を書く。カラー印刷が望ましい | 規則3条6号 |
| (3)土地の形状を明らかにする写真 | 全員 | 近景と遠景を複数枚。最新の写真で、土地の範囲をマーカーで示し、可能なら撮影時期を付ける。建物の有無が分かるようにする | 規則3条5号 |
| (4)印鑑証明書 | 全員 | 申請者のもので、市区町村が作成したもの。期限の制限はない | 規則2条3項 |
| (5)遺贈を受けたことを証する書面 | 相続人への遺贈で取得したとき | 亡くなった方の相続人であることが分かる戸籍の証明書など。遺贈の登記がされていないときは相談 | 規則3条1号 |
| (6)所有権登記名義人から相続・一般承継があったことを証する書面 | 申請者と登記名義人が違うとき | 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍・住民票、遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書を含む)など。遺言や相続放棄をした人がいるときは相談 | 規則3条1号 |
| (7)氏名・住所の変更を証する書面 | 登記上の氏名・住所が変わっているとき | 住民票、戸籍の附票 | 記載例の項目 |
| 任意書面 | 任意 | 固定資産税評価額証明書、境界確認書や過去の図面などの境界の資料 | — |
法定代理人が申請するときは戸籍事項証明書などの資格を証する書面、法人が申請するときは代表者の資格を証する書面も要ります(規則3条2号・3号)。任意書面は、審査を円滑に進めるため、できる限り出すよう記載例が求めています。
複数の土地を申請するときは、1筆ごとに(1)〜(3)を作ります(記載例の注記)。相続登記が済んでいなくても申請できますが、(6)の書類で相続の関係を示します。登記の整理は、売る前の相続登記で扱っています。
申請書でつまずきやすいのは、どこですか?
つまずきやすいのは、添付書類の不足、境界点の写真、登記上の氏名・住所の違いです。却下の理由で最も多いのは「添付書類の提出がなかった」で、令和8年9月30日時点で37件でした(法務省の統計、速報値。1件に複数の理由がある場合を含む)。件数の推移は統計の記事で確かめられます。
| つまずき | 内容 | 対応 |
|---|---|---|
| 境界標がない | 既存の境界標がない場合は、仮杭などの目印を設置して写真に写す。審査時と帰属時にも、目印が残っている必要がある | ポール・プレート・テープなどの簡易な目印でよい(手引き)。隣地の所有者と連絡が取れれば、先に調整する |
| 申請が隣地に伝わる | 法務局は、申請があったことを、図面と写真の写しとともに隣接地の登記名義人へ送る(規則13条) | 境界点の写真は、隣地の所有者に見られる前提で作る |
| 写真が古い | 撮影時期が古いと、現況と違う可能性がある | 最新の写真を添付し、撮影時期を付記する |
| 登記上の氏名・住所が違う | 申請者と登記名義人は同じでも、登記の記載が古い | 住民票・戸籍の附票を(7)で添付する |
| 相続人が複数 | 遺産分割協議書の印鑑証明書が全員分要る | 協議書に添える全員の印鑑証明書を確認する |
| 複数の土地 | 1筆ごとに(1)〜(3)が要る | 筆ごとに図面と写真を作る |
申請書は、どこへ、どう出しますか?
申請書は、土地の所在地を管轄する法務局または地方法務局の本局の、不動産登記部門に出します。支局・出張所では受け付けません(法務省の申請方法ページ)。窓口への持参と郵送ができます。
郵送は、書留郵便または信書便で、記録が残る方法を使います。封筒の表面には、承認申請書が在中する旨を書きます(施行規則9条)。申請書は、土地の一筆ごとに作るのが原則で、同じ申請者が複数の土地を同時に申請するときは1通にまとめられます(施行規則4条)。
費用は、いくらかかりますか?
審査手数料は、土地1筆につき14,000円で、収入印紙を申請書に貼って納めます(施行令3条、施行規則5条)。申請後は、取下げ・却下・不承認でも返還されません。
承認された場合は、国に引き渡すときに負担金を納めます。負担金は原則20万円で、市街化区域の宅地、農用地区域などの農地、森林は面積で算定されます。負担金の式と見本の計算は相続土地国庫帰属制度に、自分の土地の概算は国庫帰属の要件チェックにあります。
結論:申請書を書く前に、何を確かめますか?
申請書を書く前に、要件、書類、費用、他の出口の4点を確かめます。審査手数料は返還されないため、順番を守ります。
- 要件:建物、担保権、通路、境界、崖、地上・地下の物がないかを、別紙の項目で確かめる。
- 書類:図面、境界点の写真、形状の写真、印鑑証明書、相続を示す戸籍を、表でそろえる。
- 費用:審査手数料14,000円と負担金、申請前の費用の合計を見積もる。
- 他の出口:売却や買取の値段を、申請の前に確かめる。
申請書を書き始める前に、買取ならいくらかを比べる方法もあります。訳ありの不動産を扱う買取会社に、査定を依頼する選択肢です。査定の依頼と売買契約は別の手続きで、審査手数料は申請後に返還されません。条件は依頼先で確認してください。
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よくある質問
承認申請書の様式は、どこで手に入りますか?
法務省の「相続土地国庫帰属制度の承認申請」のページから、Word版またはPDF版を取れます。単独用と共同用があります。
承認申請書に、実印は必要ですか?
必要です。申請者は申請書に記名し、実印を押します。印鑑証明書は、市区町村が作成した申請者のものを添えます(施行規則2条)。
審査手数料の収入印紙は、割印をしますか?
しません。法務省の記載例は、収入印紙を割印をしないで台紙に貼るよう求めています。
添付書類が足りないと、どうなりますか?
添付書類の提出がない場合は、承認申請が却下されます(国庫帰属法4条1項2号)。却下でも審査手数料は返還されません。
この記事の根拠
- 法務省 相続土地国庫帰属制度の概要(お知らせ欄:承認申請書の様式の変更 令和5年4月24日・令和6年4月22日、申請の手引きの改訂 令和6年4月22日・補訂 令和7年10月16日)(確認日 )
- 法務省 相続土地国庫帰属制度の承認申請(申請方法・様式・記載例・添付書類・提出先)(確認日 )
- 法務省 承認申請書の記載例(本人が単独で作成する場合。ページ表示は令和6年4月22日更新)(確認日 )
- 法務省 相続土地国庫帰属制度のご案内(第2版)・添付書類(1)〜(3)の記載例(43〜47ページ)(確認日 )
- 法務省 添付書類(1)〜(3)の記載例(確認日 )
- 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(e-Gov法令検索)2条・3条・4条・5条(確認日 )
- 同法施行規則(令和5年法務省令第1号。e-Gov法令検索)1条・2条・3条・4条・5条・8条・9条・13条(確認日 )
- 同法施行令(e-Gov法令検索)3条(審査手数料)(確認日 )
- 法務省 相続土地国庫帰属制度の統計(令和8年9月30日現在、令和8年10月19日公表。速報値)(確認日 )
最終更新:2026年10月25日。承認申請書の様式・記載例は、法務省のページで「令和6年4月22日更新」と表示されているものを確認しました(2026年10月25日)。
- 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」「承認申請」ページ、承認申請書の記載例、申請の手引き「ご案内(第2版)」、添付書類の記載例(2026年10月25日確認)
- 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)、同法施行令(令和4年政令第316号)、同法施行規則(令和5年法務省令第1号):e-Gov法令検索(2026年10月25日確認)
- 法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」(令和8年9月30日現在、速報値)
この記事は、法務省の様式と記載例の読み方を整理した一般的な情報です。様式は改訂されることがあるため、提出前に法務省のページで最新を確かめてください。個別の申請の判断は、土地の所在地の法務局の本局への事前相談や、必要に応じて司法書士・弁護士などの専門家へご確認ください。