第5章 売却後|売却後の手続き
譲渡所得の内訳書の書き方と記入例(相続した家):1面〜4面の欄ごとの説明と計算シート(エクセル無料)
譲渡所得の内訳書は、売った家の譲渡所得を計算する国税庁の様式です。相続した家は被相続人の取得費を引き継ぎ、取得費が不明なら売った金額の5%を書けます。
- 内訳書は、2面(何を売ったか)、3面(取得費・譲渡費用・譲渡所得金額)の順に書きます。3,000万円控除を使うときは5面も書きます。4面は交換・買換えの特例を使う人だけです。
- 相続した家は、取得日も取得費も被相続人から引き継ぎます。取得費が不明、または実額が売った金額の5%に満たないときは、売った金額の5%を書けます。
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3,000万円控除で税額が0円でも、内訳書は添付します。計算シートで、特例なし・3,000万円控除・取得費加算の3通りを比べられます。
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国税庁の様式(PDF):譲渡所得の内訳書【土地・建物用】1〜4面/同 5面/令和7年分 譲渡所得の申告のしかた(記載例)
- 計算シート:譲渡所得の計算シート(Excel)
最終更新:2026年10月25日。確認した様式は、国税庁の「令和7年分以降用」です。税の根拠は、国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)です。
様式そのものの転載はしていません。
譲渡所得の内訳書とは何ですか。どの面を書きますか?
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】とは、土地や建物を売った人が、譲渡所得の金額を計算して確定申告書に添付する国税庁の様式です。一の契約ごとに1枚を使います。
| 面 | 書く内容 | 書く人 |
|---|---|---|
| 1面 | 住所・氏名・職業など | 全員 |
| 2面 | 1 売った土地・建物(所在地、利用状況、契約日、買主、譲渡価額) | 全員 |
| 3面 | 2 取得費、3 譲渡費用、4 譲渡所得金額の計算 | 全員 |
| 4面 | 5〜6 交換・買換え(代替)の特例の計算 | その特例を使う人 |
| 5面 | 7 被相続人の居住用財産の特例の記載事項 | 3,000万円控除を使う人 |
| 使う特例 | 書く面 | 追加で書くこと |
|---|---|---|
| 使わない | 1・2・3面 | なし |
| 取得費加算(租税特別措置法39条) | 1・2・3面 | 加算額を取得費に加えて計算する。②欄への書き方は、申告前に国税庁の記載例か税務署で確認 |
| 空き家の3,000万円控除(同35条3項) | 1・2・3・5面 | 1面左下の「5面」欄に○ |
内訳書を先に作り、計算した金額を申告書第三表、第一表へ書き写します。
2026年に売った家の申告は、2027年2月16日〜3月15日です。令和8年分の「譲渡所得の申告のしかた」は、2026年10月25日時点で国税庁サイトに見当たらず、様式は「令和7年分以降用」の表示でした。公表後に欄の変更を確認して直します。期限と添付書類の全体は、売却翌年の確定申告で説明しています。
1面と2面には、何を書きますか?
1面は住所・氏名・職業などの本人欄で、金額の計算はありません。売った年の1月1日以後に転居したときは、前住所も書きます。3,000万円控除を使うときは、左下の「5面」欄に○を付けます。契約が2つ以上あるときは、いずれか1枚の3面「4」の上段に合計額を二段書きします。
| 欄 | 書くこと | 相続した家のポイント |
|---|---|---|
| (1) 所在地・面積 | 所在地番と住居表示、面積 | 登記事項証明書の地番。実測して売ったときは実測面積も書く |
| (2) 利用状況 | 居住用・事業用・貸付用・未利用など | 売却直前の状況。相続後の空き家なら「未利用」 |
| (2) 契約日・引渡した日 | 契約書の日付、通常は最終代金を受け取った日 | 国税庁の記載例の説明 |
| (2) 共有のとき | あなたの持分、共有者の住所・氏名・持分 | 相続人が複数で売るとき |
| (3) 買主 | 住所・氏名・職業 | 親子・夫婦など特別の関係の人への売却は、3,000万円控除の対象外(No.3306) |
| (4) ① 譲渡価額 | 売った金額 | 固定資産税等の精算金は加える。共有は自分の持分の額 |
共有で売るときは、譲渡価額も譲渡費用も、あなたの持分の分を書きます(国税庁の共有の記載例も持分で按分)。
相続した家の取得費は、3面のどの欄に何を書きますか?
3面の「2 購入(建築)代金など」には、被相続人が買った(建てた)ときの代金などを書きます。相続した家は、取得日も取得費も被相続人から引き継ぐためです(No.3270)。
- 取得日:被相続人が取得した日。長期(5年超)か短期かは、この日から売った年の1月1日までで数えます(No.3208)。
- 取得費:被相続人が買ったときの代金や購入手数料。
- 相続のときの費用:相続人が払った登記費用や不動産取得税も、取得費に加えられます(事業用でない場合)。
欄は、(1)土地の小計(イ)、建物の小計(ロ)、(2)建物の償却費相当額(ハ)、(3)②取得費=(イ)+(ロ)−(ハ)の順です。
取得費が分からないとき、3面はどう書きますか?
取得費が分からないとき、または実額が売った金額の5%に満たないときは、売った金額の5%を取得費にできます(No.3258)。国税庁の記載例は、次のとおりです。
- 土地の購入先の住所欄に「令和〇年相続」、氏名欄に「売った金額×0.05」
- 購入代金の欄に、5%の額
- 建物の償却費相当額の計算は書かず、②取得費に5%の額
5%を選ぶと、相続のとき払った登記費用などは取得費に加えられません(No.3270)。国税庁の記載例は土地だけの例です。土地と建物を1つの契約で売るときの欄の分け方は、税務署でご確認ください。
建物の減価償却費は、どう計算しますか?
居住用の建物の償却費相当額は、「建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数」です(No.3261)。
| 建物の構造 | 償却率 |
|---|---|
| 木造 | 0.031 |
| 木骨モルタル | 0.034 |
| (鉄骨)鉄筋コンクリート | 0.015 |
| 金属造①(軽量鉄骨造・骨格材3mm以下) | 0.036 |
| 金属造②(軽量鉄骨造・骨格材3mm超4mm以下) | 0.025 |
経過年数は、被相続人が取得(建築)した日から売った日までで、6か月以上の端数は1年に切り上げ、6か月未満は切り捨てます。償却費相当額は、取得価額の95%が上限で、建物の取得費は「取得価額−償却費相当額」です。
建物の取得価額を10,000,000円とした見本です(5%の見本とは別の数字)。
| 条件 | 償却費相当額 | 建物の取得費 |
|---|---|---|
| 木造・28年(10,000,000×0.9×0.031×28) | 7,812,000円 | 2,188,000円 |
| 木造・40年(計算上は11,160,000円。95%の上限を適用) | 9,500,000円 | 500,000円 |
建物と土地の価額が契約書で分かれていないときは、国税庁の「建物の標準的な建築価額表」で建物の取得価額を出せます(「標準」欄にチェック)。
3面の「譲渡費用」と「4 譲渡所得金額の計算」は、どう書きますか?
譲渡費用は、売るために直接かかった費用です。国税庁の例示は、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、貸家の立退料、土地を売るために建物を取り壊した費用です(No.3202)。修繕費や固定資産税など、資産の維持・管理の費用は含めません。残置物の処分費や遺品整理費は、国税庁の例示にありません。当たるかは、税務署または税理士にご確認ください。
「4」は、これまでの金額で譲渡所得金額(E)を出す表です。譲渡所得は「収入金額−取得費−譲渡費用」で、特別控除があればさらに引きます(No.3202)。
| 欄 | 計算 | 書くこと |
|---|---|---|
| 区分 | 長期か短期かに○ | |
| 特例適用条文 | 3,000万円控除を使うとき、「措」を丸で囲み「35条」「3項」と書く(国税庁の記載例) | |
| A 収入金額 | ① | 2面の譲渡価額 |
| B 必要経費 | ②+③ | 取得費と譲渡費用の合計 |
| C 差引金額 | A−B | |
| D 特別控除額 | 3,000万円控除を使うとき、5面⑥の額。使わないときは空欄 | |
| E 譲渡所得金額 | C−D | 申告書第三表(分離課税用)に転記する |
税率は、長期が20.315%(所得税15%、復興特別所得税(所得税額の2.1%)、住民税5%)、短期が39.63%です(No.3208、No.3211)。
3,000万円控除を使うとき、5面と添付書類はどうしますか?
空き家の3,000万円控除(被相続人の居住用財産の特例)を使うときは、5面を書き、1〜3面と一緒に出します。
- 7(1):被相続人の氏名・死亡年月日・居住期間と、家屋・敷地の所在地、面積、持分
- 7(2):用途上不可分の2以上の建築物がある土地の場合だけ。裏面で計算し、「合計」欄を3面「4」のA〜Dに転記
- 7(3):あなた以外に家屋・敷地を取得した相続人がいるとき、その氏名・住所・持分
⑥特別控除額は最高3,000万円で、家屋と敷地を取得した相続人が3人以上のときは最高2,000万円です。添付書類は、登記事項証明書など、被相続人居住用家屋等確認書(取り方は確認書の記事)、耐震基準適合証明書など、売買契約書の写しなどです(売り方で変わります。No.3306)。要件の判定は判定ツールで確かめられます。
記入例:売却価格1,800万円の見本では、各欄に何を書きますか?
見本は、架空のモデルケースです。相続した木造の家と土地を、1つの契約で1,800万円で売ります。被相続人の取得から5年超(長期)、取得費は不明(5%)、売主は1人、仲介、契約は2026年(令和8年)中、利用状況は未利用です。仲介手数料は上限の660,000円、印紙税は軽減措置後の10,000円です。条件と税額は、売却手取り計算の計算例(売却価格1,800万円)が正本で、同じ数字です。
| 欄 | 特例なし | 3,000万円控除 | 取得費加算 |
|---|---|---|---|
| 2面 (4) ① 譲渡価額 | 18,000,000円 | 18,000,000円 | 18,000,000円 |
| 3面 2 ② 取得費 | 900,000円 | 900,000円 | 900,000円+取得費加算400,000円(欄への書き方は税務署で確認) |
| 3面 3 ③ 譲渡費用 | 670,000円 | 670,000円 | 670,000円 |
| 3面 4 A 収入金額 | 18,000,000円 | 18,000,000円 | 18,000,000円 |
| 3面 4 B 必要経費 | 1,570,000円 | 1,570,000円 | 1,970,000円(相の額を加える) |
| 3面 4 C 差引金額 | 16,430,000円 | 16,430,000円 | 16,030,000円 |
| 3面 4 D 特別控除額 | 空欄 | 16,430,000円 | 空欄 |
| 3面 4 E 譲渡所得金額 | 16,430,000円 | 0円 | 16,030,000円 |
- 3面 2(1) 土地:購入先に「令和〇年相続」、氏名欄に「18,000,000×0.05」、購入代金に900,000円。償却の計算は書かない
- 3面 3:仲介手数料660,000円と収入印紙代10,000円を書き、③は670,000円
- 3,000万円控除は、譲渡所得が上限のため、Dも16,430,000円。5面も書く
- 取得費加算の見本:相続税額2,000,000円×(12,000,000円÷60,000,000円)=400,000円(評価額の割合も見本)
| 項目 | 特例なし | 3,000万円控除 | 取得費加算 |
|---|---|---|---|
| 所得税+復興特別所得税 | 2,516,200円 | 0円 | 2,454,900円 |
| 住民税 | 821,500円 | 0円 | 801,500円 |
| 税額の合計 | 3,337,700円 | 0円 | 3,256,400円 |
| 手取り(売却価格−譲渡費用−税額) | 13,992,300円 | 17,330,000円 | 14,073,600円 |
3,000万円控除と取得費加算は併用できません。2つの列は、どちらかを使った場合の比較です。結果は計算上の目安で、使えるかは要件を満たすかで決まります。
計算シート(エクセル)は、どう使いますか?
譲渡所得の計算シート(Excel)の黄色のセルに金額を入れると、譲渡所得、税額、手取りが3通りで出ます。右端の欄に、内訳書の転記先があります。
| シート | 内容 |
|---|---|
| 計算シート | 売却価格、取得費、建物の取得価額と経過年数、譲渡費用、持分などを入力 |
| 記入例(見本) | この記事の見本(1,800万円)と、内訳書への記入値 |
| 償却率・注意 | 居住用の建物の償却率と、償却費相当額の計算例 |
- 端数は、課税譲渡所得を1,000円未満、所得税等と住民税を100円未満で切り捨てる目安の計算です。
- 2027年(令和9年)1月1日以後は、復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税1%に分かれますが、合計2.1%は変わりません。
- 譲渡損失(赤字)のときは税額を0円とし、損益通算は計算しません。
- 取得費加算の加算額は、特例を使わない場合の譲渡益が上限です(No.3267)。
この記事で使える計算ツール
ご自分の数字で、記事の内容を計算できます。入力した数字は、どこにも送信しません。
よくある質問
譲渡所得の内訳書は、どこで手に入りますか?
国税庁のサイトから様式(PDF)を印刷して書けます。確定申告書等作成コーナーで、画面の案内に沿って入力して作る方法もあります。
取得費が分からないとき、内訳書にはどう書きますか?
売った金額の5%を取得費にできます。購入先欄に「令和〇年相続」、氏名欄に「売った金額×0.05」、購入代金の欄に5%の額を書きます(国税庁の記載例)。
3,000万円控除で税額が0円でも、内訳書は出しますか?
出します。3,000万円控除は、内訳書や被相続人居住用家屋等確認書などを添えた確定申告で受ける特例です(No.3306)。
この記事の根拠
- 国税庁 令和7年分 譲渡所得の申告のしかた(土地・建物等)(確認日 )
- 国税庁 令和7年分 譲渡所得の申告のしかた(一括PDF。記載例、参考1〜3)(確認日 )
- 国税庁 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】1〜4面(令和7年分以降用、R7.11)(確認日 )
- 国税庁 同 5面(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例用、令和6年分以降用、R7.11)(確認日 )
- 国税庁 令和7年分 内訳書の記載例1・2(被相続人居住用家屋・敷地等を譲渡した場合)(確認日 )
- 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(確認日 )
- 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算(確認日 )
- 国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算(確認日 )
- 国税庁 No.3258 取得費が分からないとき(確認日 )
- 国税庁 No.3261 建物の取得費の計算(確認日 )
- 国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(確認日 )
- 国税庁 No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期(確認日 )
- 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(確認日 )
- 国税庁「令和7年分 譲渡所得の申告のしかた」、内訳書【土地・建物用】の様式(1〜4面、5面。令和7年分以降用)、令和7年分の記載例
- 国税庁タックスアンサー No.3202・3208・3211・3258・3261・3267・3270・3306(令和8年4月1日現在法令等)
この記事は一般的な情報です。個別の税務相談に代わるものではありません。最終判断は、税務署または税理士にご確認ください。