第4章 実行|税金
譲渡所得税の税率早見表:長期・短期と、相続した家の所有期間の数え方
不動産の譲渡所得税は、長期なら20.315%、短期なら39.63%です。相続した家は亡くなった方の取得日から数え、売った年の1月1日で5年を超えれば長期です。
- 土地・建物を売った利益にかかる税率は、長期(5年超)が20.315%、短期(5年以下)が39.63%です。2027年以後も合計は変わりません。
- 相続した家は、亡くなった方が取得した日から所有期間を数えます。相続した日から数え直すのではありません。
- 長期になるのは、取得した年に6を足した年の1月1日以後の売却です。あなたの手取りは売却手取り計算で確かめられます。
この記事は一般的な制度の説明です。個別の税額や特例の適用は、税務署または税理士にご確認ください。
不動産の譲渡所得税の税率はいくらですか?(早見表)
土地・建物を売った利益(譲渡所得)にかかる税率は、長期譲渡所得が合計20.315%、短期譲渡所得が合計39.63%です。どちらも、ほかの所得と分けて計算する分離課税です(租税特別措置法31条・32条)。
| 区分 | 所有期間(売った年の1月1日時点) | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計の税率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年を超える | 15% | 0.315%(所得税額の2.1%) | 5% | 20.315% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 0.63%(所得税額の2.1%) | 9% | 39.63% |
根拠:所得税は租税特別措置法31条1項(15%)・32条1項(30%)です。住民税は地方税法附則34条・35条、復興特別所得税は復興財源確保法13条です。合計は、15%×1.021+5%=20.315%、30%×1.021+9%=39.63%の算出値です。
住民税は、都道府県民税と市区町村民税に分かれます。合計は、住む場所によらず同じです。
| 区分 | 都道府県民税 | 市区町村民税 | 住民税の合計 |
|---|---|---|---|
| 長期 | 2%(指定都市に住む人は1%) | 3%(指定都市は4%) | 5% |
| 短期 | 3.6%(指定都市は1.8%) | 5.4%(指定都市は7.2%) | 9% |
出典:地方税法附則34条1項・4項、35条1項・5項。東京23区の例は練馬区の案内(都民税・特別区民税)でも同じ内訳です。
2027年から、税率は変わりますか?
2027年(令和9年)分以後も、合計の税率は長期20.315%、短期39.63%で変わりません。所得税額にかかる2.1%が、復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税1%に分かれるだけです。
| 売った年 | 復興特別所得税 | 防衛特別所得税 | 長期の合計 | 短期の合計 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年まで | 所得税額の2.1% | なし | 20.315% | 39.63% |
| 2027年以後 | 所得税額の1.1% | 所得税額の1% | 20.315% | 39.63% |
根拠:復興財源確保法13条(2027年1月1日施行の改正後は1.1%)です。防衛特別所得税は防衛財源確保法5条の5・5条の9(令和9年分以後、1%)です。どちらも令和8年法律第12号による改正で、e-Gov の施行前の条文で確かめました。
長期と短期は、どう判定しますか?
長期か短期かは、売った年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えているかどうかで決まります。売った日や、契約した日で数えるのではありません(租税特別措置法31条1項・32条1項)。
所有期間とは、取得した日の翌日から、引き続き持っていた期間です(租税特別措置法31条2項、同法施行令20条2項)。判定のきまりは、次のとおりです。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 判定の基準日 | 売った年の1月1日 | 租税特別措置法31条1項 |
| 数え始め | 取得した日の翌日 | 同法施行令20条2項 |
| 長期の条件 | 5年を超える(ちょうど5年は短期) | 同法31条1項・32条1項 |
| 建てた家 | 建設した日が取得の日 | 同法31条2項「取得(建設を含む)」 |
| 土地と建物 | それぞれの取得の日で判定する | 同法31条1項(土地等・建物等ごと) |
基準日が1月1日なので、取得した年に6を足した年の1月1日以後に売れば、取得の日付によらず長期になります。
- 取得が1月1日の場合、5年後の1月1日時点ではちょうど5年です。5年を超えないので短期です。
- 取得が12月31日の場合、6年後の1月1日時点では5年と1日です。5年を超えるので長期です。
上の2つは、当サイトが条文の数え方から算出した例です。
土地と建物は、別々に判定します。たとえば、親が1995年に買った土地に、2022年に家を建て直した場合です。2026年に売ると、土地は長期、建物は短期になります。売った金額を土地と建物に分ける方法は、税務署または税理士に確認してください。
相続した家の所有期間は、いつから数えますか?
相続した家の所有期間は、亡くなった方(被相続人)が取得した日から数えます。相続した日から数え直すことはありません。
根拠は2つの条文です。所得税法60条1項は、相続や遺贈で取得した人が、その資産を「引き続き所有していたものとみなす」と定めています。租税特別措置法施行令20条3項3号は、被相続人が取得した日に取得したものとみなすと定めています。
| 場合 | 所有期間の数え始め | 根拠 |
|---|---|---|
| 親が買った家を相続した | 親が買った日の翌日 | 所得税法60条1項、施行令20条3項3号 |
| 親が建てた家を相続した | 親が建てた日の翌日 | 同上 |
| 祖父母から親、親から子へ続けて相続した | 最初に買った(建てた)人の取得の日の翌日 | 同上の引き継ぎが続く |
| 生前に贈与を受けた | 贈与した人が取得した日の翌日 | 所得税法60条1項1号 |
| 限定承認をして相続した | 引き継ぎの対象外 | 所得税法60条1項1号の括弧書き |
限定承認とは、相続した財産の範囲で借金などを引き継ぐ相続の方法です。所得税法60条1項1号は「限定承認に係るもの」を引き継ぎから除いています。限定承認をした場合は、所有期間と取得費の扱いが変わるため、税理士に確認してください。
所得税法60条1項によって、取得費も被相続人のものを引き継ぎます。親の購入資料がないときは、売った金額の5%を取得費にできます。計算のしかたは相続した家を売るときの税金で扱っています。
親が買った年は、売買契約書のほか、登記事項証明書の権利部の「原因」欄(例:「年月日売買」)が手がかりになります。取得が年の変わり目に近いときは、何日を取得の日とするかを税務署で確かめてください。
親が取得した年ごとに、何年に売れば長期になりますか?(早見表)
親(被相続人)が取得した年に6を足した年の1月1日以後に売れば、長期になります。相続した年は関係ありません。
| 親が取得した年 | 長期になる売却 | 2026年に売ると | 2027年に売ると |
|---|---|---|---|
| 2020年以前 | 2026年以前から長期 | 長期(20.315%) | 長期(20.315%) |
| 2021年 | 2027年1月1日以後 | 短期(39.63%) | 長期(20.315%) |
| 2022年 | 2028年1月1日以後 | 短期(39.63%) | 短期(39.63%) |
| 2023年 | 2029年1月1日以後 | 短期(39.63%) | 短期(39.63%) |
| 2024年 | 2030年1月1日以後 | 短期(39.63%) | 短期(39.63%) |
| 2025年 | 2031年1月1日以後 | 短期(39.63%) | 短期(39.63%) |
| 2026年 | 2032年1月1日以後 | 短期(39.63%) | 短期(39.63%) |
表は、当サイトが「売った年の1月1日時点で5年超」の規定から算出したものです。2020年に取得した場合、2026年1月1日時点で5年を超えているため長期です。
見本(仮定の数字):親が2022年6月10日に買った家を、2025年に相続したとします。
| 売る年 | 1月1日時点の所有期間 | 区分 | 譲渡所得1,000万円の税額(概算) |
|---|---|---|---|
| 2027年 | 約4年6か月 | 短期 | 3,963,000円 |
| 2028年 | 約5年6か月 | 長期 | 2,031,500円 |
この見本では、2028年1月以後に売ると、税額は1,931,500円小さくなります(端数処理は省略)。ただし、待つ間に3,000万円控除などの期限を過ぎると、かえって税額が増えることがあります。期限は期限カレンダーで確かめてください。
譲渡所得ごとの税額はいくらですか?(早見表)
税額は、課税される譲渡所得に、長期なら20.315%、短期なら39.63%を掛けて求めます。課税される譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を引いた額です。特別控除があれば、さらに差し引きます(所得税法33条3項、国税庁 No.3202)。
課税される譲渡所得 = 売った金額 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除
税額(長期)= 課税される譲渡所得 × 20.315%
税額(短期)= 課税される譲渡所得 × 39.63%
| 課税される譲渡所得 | 長期の税額 | 短期の税額 | 短期と長期の差 |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 203,150円 | 396,300円 | 193,150円 |
| 300万円 | 609,450円 | 1,188,900円 | 579,450円 |
| 500万円 | 1,015,750円 | 1,981,500円 | 965,750円 |
| 1,000万円 | 2,031,500円 | 3,963,000円 | 1,931,500円 |
| 2,000万円 | 4,063,000円 | 7,926,000円 | 3,863,000円 |
| 3,000万円 | 6,094,500円 | 11,889,000円 | 5,794,500円 |
表の税額は、当サイトが税率から算出した概算です。実際の申告では課税所得や税額の端数を切り捨てるため、数百円程度ずれることがあります。
課税される譲渡所得が1,000万円のときの内訳は、次のとおりです。
| 税目 | 長期 | 短期 |
|---|---|---|
| 所得税 | 1,500,000円(15%) | 3,000,000円(30%) |
| 復興特別所得税 | 31,500円(所得税額の2.1%) | 63,000円(所得税額の2.1%) |
| 住民税 | 500,000円(5%) | 900,000円(9%) |
| 合計 | 2,031,500円 | 3,963,000円 |
所得税と復興特別所得税は、売った翌年の確定申告で納めます。住民税は、確定申告の内容をもとに、売った翌年度の住民税として市区町村から通知されます。申告の期限と書類は売った翌年の確定申告で扱っています。
売った金額から手取りまでを通して計算するときは、次のツールが使えます。
10年超の軽減税率は、相続した実家に使えますか?
10年超所有の軽減税率は、相続人が住んでいない実家には、通常は使えません。対象は、売る人自身が住んでいる家(住まなくなってから3年目の年末までの売却を含む)とその敷地だからです。
正式名称は「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」です(租税特別措置法31条の3)。条文の主な条件は次のとおりです。
| 項目 | 条件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 所有期間 | 売った年の1月1日時点で10年を超える | 同法31条の3第1項 |
| 対象の家 | 売る人が居住の用に供している家屋と、その敷地 | 同条2項1号・3号 |
| 住まなくなった家 | 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却 | 同条2項2号 |
| 売る相手 | 配偶者など特別の関係がある人でない | 同条1項 |
| 前年・前々年 | すでにこの特例を受けていない | 同条1項 |
| 税率(所得税) | 課税長期譲渡所得のうち6,000万円以下の部分は10%(超える部分は15%) | 同条1項1号・2号 |
6,000万円以下の部分の合計の税率は14.21%です。所得税10%×1.021+住民税4%の算出値です。住民税4%は、練馬区の案内(都民税1.6%・特別区民税2.4%)で確かめました。
所有期間の10年は、相続した家なら亡くなった方の取得の日から数えます。ただし、住んでいるかどうかは売る人自身で判定します。親と同居していた相続人が住み続けた家なら、対象になりえます。その場合も、個別の要件は税務署または税理士に確認してください。
税金を小さくする特例は、ほかにありますか?
相続した家を売るときは、空き家の3,000万円特別控除か、取得費加算の特例を使えることがあります。2つは同じ家と敷地について併用できません(租税特別措置法35条3項・39条)。
- 空き家の3,000万円特別控除は、正式名称を「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」といいます。1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられ、亡くなった方が一人で住んでいた家などが対象です。2024年(令和6年)1月1日以後の売却で、相続人が3人以上なら1人2,000万円までです。
- 取得費加算の特例は、納めた相続税の一部を取得費に加えられる制度です。相続税の申告期限の翌日から3年以内に売った場合が対象です。
3,000万円控除は、長期だけでなく短期の譲渡所得にも使えます(租税特別措置法35条1項)。要件と期限、取得費加算との比べ方は、相続した家を売るときの税金で詳しく扱っています。使えるかどうかは、次の判定ツールで確かめられます。
この記事で使える計算ツール
計算ツールは、本文の後に置く追加機能です。ツールが動かない環境でも、本文の説明と表の計算例だけで内容を読めます。
よくある質問
不動産の譲渡所得税の税率は、長期と短期でいくらですか?
長期(売った年の1月1日時点で5年超)は20.315%、短期(5年以下)は39.63%です。所得税・復興特別所得税・住民税の合計です。
相続した不動産の所有期間は、相続した日から数えますか?
数えません。亡くなった方が取得した日から数えます(所得税法60条1項)。限定承認をした場合は、この引き継ぎから外れます。
譲渡所得税の「5年」は、いつからいつまでで数えますか?
取得した日の翌日から、売った年の1月1日までで数えます。取得した年に6を足した年の1月1日以後に売れば、長期です。
2027年から、譲渡所得税の税率は上がりますか?
合計の税率は変わりません。2027年分から、復興特別所得税が1.1%、防衛特別所得税が1%になりますが、合計は2.1%のままです。
10年以上持っていた実家なら、軽減税率が使えますか?
相続人が住んでいない実家には、通常は使えません。軽減税率は、売る人自身が住んでいる家(住まなくなって3年目の年末まで)が対象です。
この記事の根拠
- 租税特別措置法31条・31条の3・32条・35条1項(e-Gov法令検索。令和8年10月16日施行の現行版を e-Gov 法令API で取得)(確認日 )
- 租税特別措置法施行令20条2項・3項(e-Gov法令検索。現行版を e-Gov 法令API で取得)(確認日 )
- 所得税法33条・60条1項(e-Gov法令検索。現行版を e-Gov 法令API で取得)(確認日 )
- 地方税法附則34条・35条(長期・短期譲渡所得の住民税の税率。e-Gov法令検索)(確認日 )
- 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法13条(現行版と、令和9年1月1日施行の未施行版。e-Gov法令検索)(確認日 )
- 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法5条の5・5条の9(令和9年1月1日施行の未施行版。令和8年法律第12号附則1条5号。e-Gov法令検索)(確認日 )
- 練馬区「土地・建物等の譲渡所得の課税(分離課税)」(住民税の都民税・特別区民税の内訳。2026年2月1日更新)(確認日 )
- 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)(確認日 )
- 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算(確認日 )
- 国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算(確認日 )
- 国税庁 No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期(確認日 )
- 国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例(確認日 )
最終更新:2026年10月22日。法令は、e-Gov法令検索の現行の条文で確かめました(租税特別措置法は令和8年10月16日施行版)。2027年からの税率は、2027年1月1日施行の条文で確かめました。
国税庁タックスアンサーと法令の条文は、2026年10月22日に確かめた内容です。
早見表の税額・売却年・見本は、当サイトが上の条文の税率と数え方から算出したもので、実在の売却事例ではありません。この記事は一般的な情報で、個別の税務相談ではありません。最終判断は、税務署または税理士にご相談ください。